龍馬伝/大石先生の講演会
先日、恩師である大石学先生の講演会をお伺いに行きました。
先生は、『篤姫』に引き続き、『龍馬伝』の時代考証をされています。
幕末の背景とともに、NHKのプロデューサーさんとのやりとりと、実際にどのような映像になったかをご説明いただきました。
本当に楽しかったです。
武士の子どもたちは浮世絵で確認すると、刀二本差しだけれども、映像的に1本差しに擦る必要があったこと、大河ドラマはお正月からの開始なので、岩崎弥太郎の華やかなパーティーから始まった事などをおうかがいしました。
不気味な黒船襲来から始まるという案もあったそうです。
面白かったのは、『争いなく世界の中で競争力を持つ日本を作る』という龍馬の視点です。
攘夷論が吹きすさぶ幕末、龍馬は国際法に則った日本の制度を作らなければ、国際社会で生きていけないと思っていたようです。
国内の混乱を最小限に抑えつつ、海外とうまく付き合うようにしなければ、属国化してしまうという危惧。
そうであれば、現時点て最大の大名である徳川を解体することにエネルギーを使い、さらに権力争いをする必要はないし、その時間も無いだろうという視点。
徳川が生き残りをかけ大政奉還したのが1867年10月。
徳川を潰すために王政復古がなされたのが同年12月でした。
なんと、龍馬が暗殺されたのは、その間の11月です。
ここに、ミステリーが隠されているのではないか、と大石先生はおっしゃっていました。
大河ドラマで、龍馬は何回か取り上げられているそうです。
中村敦夫、北王子欣也、藤岡弘、夏八木勲、佐藤浩市さんなどの龍馬はどちらかというと無骨で力強い『肉食系・龍馬』でした。
ところが、今回の龍馬伝は、江口洋介、玉木宏さんに引きつづき福山雅治さんが演じており、『草食系・龍馬』として描こうとされているそうです。
国際競争力を得る新しい国を作るには、暴力や憎しみはいらないという視点から描かれているそうです。
その視点は、非常に現代的だと感じました。
『争わないで生き残っていき、勝てるのなら、それがベストである』という点はスマートです。
現在、常にどの国々も科学技術、工業、農業畜産の面でも、様々な面でGDPを上げるべく戦いを繰り広げています。領土や領海の面でも、同様です。
今後、先進国たちどうしが戦争をすることは当面ないでしょう。
だからこそ、頭脳的な戦略が必要なわけです。
そうであれば、今回の龍馬伝は非常に参考になりますし、現在の政治に対する視点も豊かになるだろうと思います。
現政権が国民を豊かにするため、GDP拡大のためにどんな手を打っているのか、外国の観心を得るためだけに我々の利益を切り売りしていないか、注目する必要があります。
実体経済拡大を伴わない、国債や紙幣を刷るような経済政策だけでは、卵白でメレンゲを作るようなもので、体積だけを増しても、崩れ去ることは目にみえています。
江戸時代の武士(=官僚)は日本の国益を思い、流暢なオランダ語を介して、英語で対等に渡りあいました。現在の政治家や官僚の方々はどうでしょう?
非常に有意義な数時間でした。
大石先生、ありがとうございました。
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