宇都宮で頭痛の講演会をしてきました/本の題名は「迷惑な進化」です
昨日、頭痛の講演会を宇都宮で行って来ました。
獨協医科大学の平田先生主催の講演会でした。
医局の先生方が大勢いらっしゃっていたのですが、
とても熱心で活気がありました。
面白い質問がありました。
「頭痛の人がこれほど多いというのは、
頭痛は人類の生存に有利に働いている面があるからなのでしょうか?」
というものです。
脳の血管は収縮と拡張を繰り返していますが、
脳への血液供給量を保つため、
痛みが出たとしても拡張するポテンシャルを持っている、
三叉神経をかいして、どんどん拡張していくシステムを持っている、
という面は脳を守るという点で有利だったのかもしれません。
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たとえば、この本の中には「糖尿病であることは凍傷に強い血液を作る面もある」といった、現在では病気のカテゴリーに入る状態も、人類の進化のある局面では有利に働いたこともあることが記されています。
片頭痛にもそういった面があるのではないかと思っています。
鋭い質問です。
「進化の過程で獲得した、現在では迷惑な面も持つ体のシステム」
と言い換える事もできます。
小さなきっかけで大きな反応を起こす
花粉症やアナフィラキシー、サイトカインストームも、同じように説明できます。
さらに、「前兆だけで終わる片頭痛の起きる仕組み」や「予防薬の組み合わせ」など、
神経内科医ならではの質問が相次ぎました。
この活気は、入局員がとても多いということも鑑みると、
平田教授のコーチング技術と言って良いとおもいました。
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