若い医師たちは希望
若い先生たちには未来があります。
医科歯科大学で入局説明会があり、EUでの写真展の後、急いで大学に向かいプレゼンを行ってきました。
「自分の描くイメージを実現化すること」 それがテーマ。
なぜならば、生きていくということは、
命の時間を失いながら、それを何かに変えていくという作業に他ならないからです。
どの科に進まれても、楽しく、悔いのない人生であるのなら、それで良し。
若い先生へエールを送りたいと思いました。
それぞれの若い先生の頭の中にあるイメージは無限の可能性を秘めています。
素晴らしい。
脳科学には各国で多額の予算がついて、研究がどんどん進められています。脳は、身近にありながらまだまだ未知部分が多い宇宙です。その大海原に人類は漕ぎ出しています。
代謝病の治療において、脳の重要性が高まっています。サンケイエクスプレスのコラムの最新号でも教授が携わっている脳プロや、「3型糖尿病」について取り上げました。
腹部最大の実質臓器、肝臓。
脳もほぼ同じ重量を持つ大きな臓器です。しかも、場所によって機能が異なっている。この大きな臓器が体とネットワークを形成している。脳をあつかう内科は魅力的。
機能の面から、血管内治療の面から、自己免疫の面から、幹細胞の再生の面から、代謝病の面から、慢性疼痛治療の面から、気象病の面からなど、どの面からみても興味が尽きません。
これまで、小脳は大脳の機能を補佐すると考えられていましたが、ところがどっこい、小脳が大脳をコントロールする仕組みもわかってきました。京都大学の成果です。
運動をすることは、脳内のネットワークの活性化、脳と筋肉を含む全身の応答の疎通をよくする、小脳の活性化など数えきれない意味を持ちます。脳、脊髄、神経筋接合部、筋肉、それらは神経内科のテリトリーです。
効率的な運動方法を提唱できるのも、神経内科の魅力です。日ごろからMMTを繰り返しているので、筋肉の大きさ、支配神経、代謝をつかさどる自律神経系、脳の生理学などは毎日のフィールドワーク。
大学病院の看護師さんや、医師にスイミングが得意な人々がいらっしゃって、「神経内科水泳部」を作ろうかという話でも盛り上がりました。上腕二頭筋の鍛え方が足りないと指導されました。
代謝系を考えるときに、褐色脂肪細胞と交感神経の関係は重要です。カプシエイトやカプサイシンのTRPを介した交感神経刺激作用は、運動の脂肪燃焼作用をさらに増加させると考えています。ω3はGPR120やニューロプロテクチン系で脳と脂肪細胞に働く。両者は相補的かつ協働的に働くと考えています。
神経内科は、脳や自律神経と体の作用について考える科なので、こういった論文を読むのはとても楽しい。
若い先生に神経内科の新しい切り口をお伝えしました。
これから彼らは結婚したり子育てをしたりいろいろな人生の転機を迎えていくことでしょう。子育ては人を育てます。
入局後の若い先生方からフレッシュなプレゼンがなされました。女医さんはかわいらしく、救急病院の若人は登山にたとえて凛々しく。
そういった彼らの人生の話を聞けることは、うれしい限りです。
イメージをどうリアライズするか。本当にそれだけ。
300人のスパルタ人、という映画では、イメージを実現化することで絶体絶命の状況をはね返していきます。
神経内科医は救急で運ばれてきた方に対応し、入院後の治療、リハビリを行い、在宅医療へ進めます。
以前、私は厚労省の研究で「Medical Life Planer; MLP」と「Medical Information Transporter; MIT」の重要性の論文をお書きしました。「いきいき」という雑誌にも掲載されました。
私たち神経内科医は、神経を患った方がどのようになっていくのかある程度の見通しを予測すること(medical life plan)ができます。そして、多様な医療形態に対応できるため、かかりつけ医がその方の情報(medical information)をコメディカルに伝え続けることができます。神経内科は、人々により添っていく総合的な内科医の性質をもちます。
高齢社会を迎えるにあたり、ますますその重要性は増すでしょう。
学問的には血管障害から自己免疫疾患、変性疾患まで多様性に富んでいます。
イメージを実現化していくためには、未来性、確実性、継続性を持つ環境が必要です。
それらを備えている私たちの医局は、多様性に富む若い先生たちの素晴らしいイメージを実現化できるお手伝いができるだろうと思っています。
私も3人の教授に教えをいただき、育てていただきました。今も迷いながら様々な未来のイメージをいろいろな方々とコラボして実現化しようとしています。
多くの先生方がお話を聞きに来てくださいました。懇親会も盛況でした。
立川や、青梅の病院からも来てくださいました。お向かいの席に座られたというのは、ある意味運命だったのかもしれません。
希望にあふれる学生さんもいらっしゃいました。
一緒に仕事ができることを楽しみにお待ちしております。
イメージの実現化と物質化。
若い先生たちは、新しい未来を作る希望、そのものです。
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