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2013年9月

2013年9月30日 (月)

蝶と黒い鳥のいる午睡 / コンテストのための下絵

Butterfly

コンテストのための下絵を書いていました。 なかなか進まない。いっぱい紙と黒鉛を無駄にしました。時間との戦い。デジタルなんかで解決できない。
望む曲線はストイック。重心がなかなか現れない。

イメージは降りてくるまで時間がかかります。走ったり、泳いだり、診療している僕の脳内で何らかのプロセスをしている。
蝶も鳥も風に舞うような弱い生き物でなく、未来を自力で飛ぶ。

人がなんていうかなんて、関係なく、力強く生き抜く。
日高先生は、蝶は蝶の目と脳で考えていることを教えてくれました。温度を感じ、樹々の匂いを嗅ぎ分け、力強く生き続ける。生まれながらの優等生。僕らには見えない紫外線を見て、わずかな温度変化を感じる。人が届かないはるか上空を飛び、海を超える。

いきものの形や命の推進力を絵に繋ぎ止める試みを続けています。
文章でも。少しずつ。

2013年9月29日 (日)

羊の海音 / ひつじ雲

Emi3今日は完璧な羊のぬいぐるみに出会った日でした。
帽子が海辺のカフェの色で、波の音に耳を澄ませているようにも、眠っているようにも見えるので、「海音(うみね)」と名づけました。バックは藍染めのカエル

Emi2 全体像はこんな感じ。耳の大きさのバランスよし。手足の長さも。手触りは、ウールより柔らかいマイクロファイバーな感じ。パーフェクト。実物に触れないとわからないクオリア。

Emi4 陽の光。青リボンと帽子の色が、海辺の古い青ペンキの上の白い塗装を思わせます。AFTERNOON TEAのものは、計算されつくされています。SEA-DRAGONの金縁グラスにもやられました。

Emi5_3 おしりの曲がり。小さな子供をだっこしたときのような立体的なまるさ。 リボンの色は水色よりも少し緑がかった清潔な色。

0928 今日は秋晴れ。
バタフライを含めて2000mぐらい泳ぎました。泳いでいる水音の中で「環世界」のことを考え続けていました。RUNは10km。

09281_2 美しい秋空。
羊の群れのようなくっきりした雲がゆっくり流れます。
ひつじ雲 君の拍動 海音をや   優仁
そんな句が浮かびました。

09282_2 日も長くなりました。
いろんなお医者さんがいて、それぞれのお医者さんはきっと違うものを見続けている。動物にも植物にもバクテリアにも、それぞれの「環世界」があることでしょう。

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2013年9月28日 (土)

HORIE社の純チタンタンブラー / チタン食器のイノベーション / 巧(たくみ)

Newtambler

HORIE社の堀江社長が遊びに来てくださいました。
お持ちになったのは、どっしりした新作のマグカップ。

1055度という高温で一晩焼き続けると、チタンの再結晶化が起こり表面に金属結晶の模様が浮かび上がります。

さらに、ゴツゴツとしたうねりがでる。まるで、異なる星のアンティークな道具と言った風合いです。割烹料理屋さんや銀座のバーのたたずまいのようでもあり、ロケットのJAXAが開発したようにも見える。微妙にゴールドが入っています。

Horieshacyo 精悍さがまして、ますます元気になられています。トヨタ、ヤマハに始まり、ロンドンオリンピックやサザンオールスターズの製品も手がけられたとのこと。何度も不死鳥のようにチタン製品を蘇らせてきた迫力があります。

ねたみそしみや比較、搾取などではなく、自分で道なき道を拓いていくことしか未来がないことを体現されています。見習わなくては。

新潟の燕三条。ものづくりニッポン。
見たこともない製品をイノベーション。素晴らしいです。

2013年9月27日 (金)

world citizen / 今あらためて聞くべき歌

大学ではなく、音楽の教授の曲。
J-WAVEの開局記念の曲だったとのこと。今聞くと歌詞がさらに心に響く。
歌詞はこちら。Art of Noiseのカケラも伺えます。

1984 1984
Eurythmics

RCA  1990-10-25
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歌詞中にでてくる、maze on 101は101号線のようにも見えますが、映画『1984』のroom 101を思い出させます。殺伐とした世界の中に現れる、青々とした草原の映像が鮮やかに思い出されます。Eurhythmicsはよく聞きました。

教授も駿監督も『ビッグ・ブラザー』を作ってはならないということでは一致していると思います。日本の可能性を閉ざしてはならないと教えてくれています。国の発展は包括的政治を続けることにかかっています。歴史が教えてくれる。

水が汚され蝶は飛ぶことをやめ、空気の汚染からカナリアは眠り続けます。
別バージョンでは、港に薬が足止めされたために子供たちが取り残されたり、ダムで人々が生活の地を失ったりすることが歌われています。

理解者である彼女が、若者特有の笑い転げるだけの日々を終わらせて、不安定であっても世の中をつなぐ一歩を踏み出すところで、歌詞は終わります。若いカップルよガンバレ。そこで男子が女子の言の葉を触媒として未来を紡げるか。

大切なことは彼女が理解者であること。スティーブンキングさんの自伝でも同様のことが書かれています。

WORLD CITIZEN WORLD CITIZEN
坂本龍一+デヴィッド・シルヴィアン

ワーナーミュージック・ジャパン  2003-10-08
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明け方走るときにも、良い曲です。
学芸会のような曲ではなくて、この曲が好きな若者も多いです。
希望。

このバージョンでは最後にラ・カンパネラのように、
鐘がひびきあうように終わっていきます。シンプルで美しい。

2013年9月26日 (木)

「環世界」 / 動物たちの見ている世界

動物たちは動物たちの目で、
人間は人間の目で世界を見ています。
それを「環世界」と呼びます。

動物と人間の世界認識―イリュージョンなしに世界は見えない (ちくま学芸文庫) 動物と人間の世界認識―イリュージョンなしに世界は見えない (ちくま学芸文庫)
日高 敏隆

筑摩書房  2007-09-10
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どんな生物でも、外界を理解するためには日高先生のいうところの「イリュージョン」、論理構造に支えられた認知能力が必要です。ここでいうイリュージョンはマジック・ショーのようなものではなく、外界からの刺激で神経系がどう反応するかというハードウエアとソフトウエアの性質をさします。

人間は水晶体と網膜を持った目と大きな脳、虫は単眼や複眼そして人間よりは小さな脳の組み合わせです。日高先生は、ハードウエア的制限から見えるものは自ずと異なり、それを処理する神経系も異なるのだから、それぞれがそれぞれの世界を生きている、と述べられています。

もしかしたら、こういった「環世界」や「イリュージョン」といった概念は、カントなどの哲学をも超えた理論かも知れないと考えています。

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2013年9月25日 (水)

京都に決定 / WCN2017 / ニュースウオッチ9の取材の日

世界神経学会、World Congress of Neurology 2017がアジアの競合都市と競って、京都に決まりました。

神経学会総会から頑張って色々続けられたスタッフの方々
お疲れ様でした。

本当に嬉しい限りです

今日は大越健介さんのニュースウオッチ9の方々が見えられた日でした。

(追記27日)

Nw9

ニュースウオッチ9の取材はとてもタイミングが良いです。記者さんもスマートでかっこいい若者達です。

前回いらした時も、いらっしゃる前日、翌日はバタバタでしたが、その日は奇跡的に時間的に余裕がありました。医科歯科のICUで画像を見たことを思い出します。

今回も、取材にピッタリの女性がいらして、しかも、時間的余裕のある日でした。前日、翌日はとても忙しい日でした。

こういった「星のめぐり」は、天の恵み。
突然、当日にご協力いただいた方々、ありがとうございました。

2013年9月24日 (火)

サボテンの露

クリニックにある小さなサボテンに露がおりていました。

Saboten サボテンのとげは葉が変形したものです。
寒暖の差によって、
とげにつく露を水分補給源にしています。

室内で起きている変化にも、自然を感じます。

2013年9月22日 (日)

プログラムとシナリオ / 動物行動学からみた人間

『Why Nations Fail』には繰り返し人類共通の行動パターンと政治、その結果について語られます。彼らは「地域、人種、文化を超えて国が栄える政治があるのではないか」と考察する。

それは、とりもなおさず「人類という動物がもつプログラムは共通であるだろうから、そのプログラムから照らしてみると栄える政治とは何?」という問いかけと何ら変わりません。

『Why Nations Fail』は、人類の動物行動学のようなものだなぁと感じ続けていました。そこで動物行動学周辺の学術書や著書を読み進めています。
 「なぜ、違う時代でも同様の政治形態の国が反映するのだろう?」という考察は、「なぜ蝶は飛ぶか?」といった動物行動学と何ら変わるところがありません。
 違う蝶でも同じ振る舞いをしたり、次の世代の蝶が教わらなくても同じ行動をするには、なんらかの理由があります。仕組みがある。全く同じ。

老いと死は遺伝子のたくらみ プログラムとしての老い 老いと死は遺伝子のたくらみ プログラムとしての老い
日高敏隆

武田ランダムハウスジャパン  2012-08-23
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日高先生は見事にそのことを解説されています。生きている人間が暮らす社会。

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2013年9月21日 (土)

世界を、こんなふうに見てごらん / イリュージョンと幽霊 / ゴースト・ホース

世界を、こんなふうに見てごらん (集英社文庫) 世界を、こんなふうに見てごらん (集英社文庫)
日高 敏隆

集英社  2013-01-18
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あとがきに日高先生の絶筆について今福道夫先生が寄稿されています。
「植物的な有機的なつながりが切れて、物理的な法則が勝って(人は死んで行く)」と自分の体に起きる変化を観察されていたようです。

新編 チョウはなぜ飛ぶか フォトブック版 新編 チョウはなぜ飛ぶか フォトブック版
日高 敏隆 海野 和男

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全面が写真のページもあります。
Photo 章立てのページやコラムのページは、ななめに光る帯が入れられています。本当に凝ったつくりの美しい本です。
「世界を、こんなふうに見てごらん」の中には蛹が緑になる仕組みが解き明かされています。

後半に、論理にだまされると、蒸気機関車を「幽霊の馬(ゴースト・ホース)が動かしている」という誤りをしでかしてしまう危険についてのエッセイが語られています。

「いいかげんに調節されたイリュージョン、イマジネーション」こそが「なぜ」をひもといていくことが示されています。「科学的」とか「論理的」とかにダマされず、「なぜ?」を考えていく知性を持ち続けなさい、と教えてくださっています。

11のエッセイが、それぞれの切り口で大切なことを語りかけてくれます。

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2013年9月20日 (金)

Ribbonwoodのリースリング / ニュージーランドのマルボロ / 成城石井の底力

ニュージーランド、マルボロのスターフィッシュのStarboroughを紹介しました。
成城石井で入手可能なRibbonwoodのリースリングは、さらによいです。
Ribbonwood
同じマルボロですが、良い白ワインにある「香ばしさ」の残光。

私は、酸味が少なくて、ブドウから離れた香ばしさが放たれているところが素晴らしい。位が上のドイツワインに近い感じ。
モーゼルより香り高く、シャブリに日本酒の奥深さを追加。

すぎゆく夏にふさわしいワイン。2000円前後です。
フランスの同等のリースリングは5000円超えます。各国の技術が上がっているので、この位置のワインは競争が激しいし、楽しく素晴らしい。酢酸になっている危険は皆無です。

オリーブの仕入れも素晴らしい。ハモンセラーノといい成城石井さんの底力を感じます。

テーブルワインの1000円より少し贅沢したいとき、美味しい魚介類が手に入って、アクアパッツァやボンゴレ、タコのフリッター作れた時にもこちら。あさりの酒蒸しも良いでしょう。
フグや鱧にも合いそうです。もちろん牡蠣にも。

スターフィッシュのマルボロは、手に入らなかったので探してみました。
幸せは探すこと。お金はかからないものです。

2013年9月19日 (木)

「蝶はなぜ飛ぶか」 / 美しい科学エッセイ

新編 チョウはなぜ飛ぶか フォトブック版 新編 チョウはなぜ飛ぶか フォトブック版
日高 敏隆 海野 和男

朝日出版社  2011-06-11
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Photo_2 見開きの左側が全ページ美しい蝶の写真、右側がエッセイになっています。蝶は飛ぶ道がきまっていて、なぜ、同じ道をたどるのだろう? 
その謎に迫る形になっています。

渋谷の街なかからはじまった少年の探求は、大人を巻き込み山へとひろがっていきます。素晴らしい。

どんな場所でも科学的思考をすることができます。知らないから、興味ないから、自分のテリトリーではない、なんてあきらめてしまうことは簡単です。その代わりに失うものの大きさを教えてくれます。あきらめたら、そこでオシマイ。
Photo
昆虫写真家の海野さんの写真
が何よりも美しく、日高先生の手書きの図も味がある。

陽の光のもとでの生き物の息吹。
美しい本です。
秋の日差しにピッタリです。

2013年9月18日 (水)

2017年のWorld Congress of Neurology / 京都へ招致

第23回世界神経学会、World Congress of Neurologyを京都へ招致しようという努力が続けられています。

無事、ウイーンで開かれるJAPAN NIGHT
は盛況になりそうとのことでした。
さすが水澤教授。呼びかけからわずかな期間で皆が賛同しました。さぞや美しい大和撫子と紳士による「おもてなし」になることでしょう。翌日の投票直前まで世界の方々へのアピールが行われるとのこと。

首相からの世界の先生へアピールする応援のお便りも。お便りには高齢社会における脳神経内科の増加する重要性や、京都の1000年以上の歴史、沢山の建造物やホスピタリティ、日本の会合実行能力の高さなどについて言及されていました。

全日本体制で応援くださっているとのことでした。
ぜひとも日本で開催されることを願っています。

2013年9月17日 (火)

衛生的すぎる弊害 / 免疫と炎症

衛生的すぎると、免疫系等が暴走しやすくなります。

花粉症もそうですが、認知症との関連も指摘されています。

人間は自然界のほとりで暮らすようにできているようです。

2013年9月16日 (月)

NAUSICAAの示す世界 / 動物行動学からみた人間 / オンカロは作れない

人間はどういう動物か (ちくま学芸文庫) 人間はどういう動物か (ちくま学芸文庫)
日高 敏隆

筑摩書房  2013-06-10
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「自然との共生」というロマンチックな思想に対して、日高先生は自然界の生き物たちを観察した結果、反対を唱えています。

『自然界にはある種のバランスと調和があるだろうと思われていたが、どうもそんなものはなくて、バランスは結果であるということになると、たとえば、「生態系の調和を乱すな」というスローガンは行き場を失ってしまう。
見事な共生という話も、じつはみんなが利己的にせめぎ合った結果として収まったところが共生に見えるだけだとすると、「自然と人類の共生」をうたっても、どうしたら共生できるのかというのは難しい問題になる』
上著pp.141

この文章に集約される。どこかに調和をもった美しい自然があって、人間がそれを壊している、といった視点だけでは圧倒的に理解不足。汚濁されて生き物が住めなくなった河川にも、人が住めなくなった場所にも、細菌、真菌類や動植物などがしぶとく生き続けているに違いありません。スリーマイル島の高放射線の原子炉の中は藻だらけでした。藻にとっては楽園。敵が存在しない、その場所は彼らの楽園。

「清浄な水や空気、植物などといった自然は、人間が生きていくために必要なものだからこそ、人間はそれを守ろうとしている」と考えるべき。人間は、生物としての利己的欲求の面から自然を大切に考える。川に重金属が流れても困るし、空気が吸えなくても、土壌が汚染されても生活に困る。利己的な他の生物と同じです。

ナウシカに出てくる王蟲も、ヒドラも、ムシゴヤシもオーマも勝手に生きています。人間たちも一緒。その結果が未来になるだけ。腐海を含めた彼らの世界は、生存をかけた単なる利己的せめぎあい。それが、バランスを持ち共生している。ナウシカのストーリーは、自然界の摂理をそのままトレースしています。洞察性の違いから、エコロジストと咬み合わないのも当然。

Th18 動物行動学から見た人間を考えながら、「Why Nations Fail」の収奪的経済と包括的経済を読み進めると奥深いものがあります。人間は、もともと持った生物学的特性の延長でしか、人間の世界を作ることができない。様々な政治の形も同様。知恵を張り巡らせて複雑に作られているように見えるけれども、シンプルなものです。

今日は嵐の日。外では風と雨が吹き荒れています。
人間が、コントロールできない自然のすそ野で、必死に生きて未来を紡いでいくことしかできない事を教えてくれます。

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NAUSICAAの示す未来 / 腐海の果ての意味 / けなげに生きる場所

きのう宮崎駿さんとエコロジストの対談を考えながら走っていました。

風の谷のナウシカ 豪華装幀本(上巻) 風の谷のナウシカ 豪華装幀本(上巻)
宮崎 駿

徳間書店  1996-11-30
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物語版のナウシカは汚染された地球を、生き物たちが「自分で」けなげに浄化していくという物語。同時に、ナウシカもセルムも完全に浄化されてしまった地では生きていけない。王蟲も地球の事を考えて怒ったりするのではなく、自分の生存が脅かされた時に「自分たちのために」怒って暴走する。結果として、地球を浄化しているに過ぎません。

ジブリの教科書1 風の谷のナウシカ (文春ジブリ文庫) ジブリの教科書1 風の谷のナウシカ (文春ジブリ文庫)
スタジオジブリ

文藝春秋  2013-04-10
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この本の後ろの方に宮崎駿さんとエコロジストの「全くかみあわない」対談が掲載されています。かみあわないまま、そのまま掲載されています。エコロジストの背景には、「節約し自然への影響を減らせば問題ない(なぜなら人間は賢い動物だから)」という思想。冷蔵庫の議論がおもしろい。自己満足。

宮崎さんはちがう。「人間は、こんなふうにしか生きられない動物なのだから、その中に未来は内包されてしまっている」という達観が見受けられます。そして、「とりあえず僕らは暮らしているのだから、元気よく精一杯生きよう。生きるに値する世の中なのだから。」とつながります。風立ちぬの、(どんな世界であっても)「生きねば」という言葉につながる。

腐海は瘴気の場でもあり、蟲使いもトルメキアも風の谷の年寄りたちも、登場人物全員がその中でしか生きられない世界でもある。その外では、誰も生きられない(厳密に言うと「楽園」のヒドラや生き物は例外)。

セルムたち森の人々は、腐海の限界の外に人を送ったものの誰も帰ってこれなかったことを知っています。楽園のヒドラも、完全に浄化された世界ではナウシカが死んでしまうことを伝える。腐海は、彼らが生きられる唯一の場。

さらにナウシカは、危ないものだとわかっていても巨神兵と共存する。毒の光を放つ、巨神兵オーマそのものは無垢なものとして描かれています。毒の光を放つウランも、美しい光を放つ水晶と等しく地球上の鉱石に過ぎません。人間の登場前から地球にある鉱石そのものには違いも罪もなく、ニュートラル。

瘴気を真菌のムシゴヤシは結晶化して、無毒化していきます。でも、完全に無毒化された限界の外側では生きていけない。人間は、瘴気ゼロの無いところでは生きられないが、濃すぎる瘴気では生きられない、といったアンビバレンツを抱え続ける。

「人間の精神も同じ。美しすぎる場所では生きられない」という思想。絵描きの彼は、腐海という物理的エリアを使って、「人間の住むことのできる精神性の限界」を示したのではないかと私は考えています。

ナウシカもセルムも腐海の真実を知ったとしても、それに従って自分の命を生きることしかできない。けれども真実を知ることは、よりよい未来を勝ち取るための軸足となります。

私は、ナウシカの物語りは、「腐海の果ての物理的限界」に「人の精神性の限界」をオーバーラップさせた見事な哲学書だと考えています。

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2013年9月15日 (日)

柿渋の着心地 / 自然に帰る / 藍着堂とベニシアさん

Kakishibu1既成品のTシャツに疲れていて、手染めのTシャツを選んで着るようになっていました。

藍着堂さんのTシャツは、布もオーガニックぽく染も自然なもので、お気に入り。カエルの合うサイズをお願いして着ていました。柿渋と藍染め。

なんと、TVを見ていたら、見覚えのある模様が。
Kakishibu2 ベニシアさんの京都特集のNHKの番組

ファスト・ファッションも良いですが、人間がイチから作る服もとてもよいものです。

このざっくりした着心地は、秋にピッタリ。

Kakishibu3 フランスがモードを作り、イタリアが手作りで産業化する。そこまではよかった。「今みたいにファストファッションだらけになってしまったのは最近のことで悲しい。みんなが手作りの服の良さがわかるといいのに。」というお話をうかがったことがあります。

袖の裏の染めムラと、蛍光色ではない植物の色を眺めなら。
ほんのり、植物のにおい。アンティークなイタリア料理店に合っていたと思います。

カエルだけでなく、日本のお花の模様もおすすめです。
良く柿渋と藍染めだけで、ここまで染められるものです。
素晴らしい。

嵐の合間を走る / 白いクモ

昨日、本日と午前中会議が入っていたので、それぞれの午後走りました。この会議のどちらかが抜けられれば、HFFで鹿島先生にお会いできたのに。日程調整は難しい。

気を取り直して、午後走りはじめます。
Jinja1_2 午前中の豪雨で水浸し。
Refrections3
Tayphoonsunしばらくすると昼間、少しだけ太陽がもどりました。


Taifuhare青空も戻ってきました。

Spider 木からは苔が元気よく復活しています。恵みの雨。
白いハエトリグモもいました。いつも見るものより白いクモ。初めて見ました。人間には嵐でも、喜んでいる生き物もいる。1時間スイム。

Underarmerstorm 走りながら、いろいろ考えました。
今日のRUNを支えてくれたアンダーアーマーストーム。水たまりも多かったので助かりました。明日はまた暴風の予報。嵐の合間のつかの間の時間、久しぶりにRUN-SWIM-RUN。

嵐の合間の青空は塵がおちて、澄んだ空気。
白いクモと苔の新緑。美しいコントラストでした。

2013年9月13日 (金)

Cast‐off shell of a cicada / セミの抜け殻 / 目は透明

暑い日が続いています。40度を超えたりしています。
The_castoff_shell_of_a_cicada1
強い日差しの下、セミの抜け殻を発見しました。
英語では、Cast-off shell of a cicada、キャスト鋳型の殻という意味のようです。全くその通り。

木の幹だったり、葉の裏にあったり。
よく見てみると、美しい形をしています。
土の中で安全に何年も暮らしていた形。

The_castoff_shell_of_a_cicada2 土の中を掘り進む前の肢は大きな鎌のような形をしています。
前肢に土がついているけれども、体はつるつるできれいです。
子供のときから、いつも不思議に思っている謎のひとつ。
太陽に透かすと、名残の糸がみえます。

Cicada_eye また、目の部分は体と違って透明。
王蟲の目のようです。
ナウシカは銃の火薬で王蟲の目を外して、ガンシップの風防に使ったりしていました。

頭とおなかの部分のバランスがとてもいい。
美しい流線型です。生き物は無駄がなく、自然美を備えている。
いつも感動します。

Castoff_shell_of_cicada3 何年も土にいて、空を舞う今、暑くっても、この数日が彼らの人生です。
夏の陽光の元、「明っかるいなぁ」とか言いながら、元気いっぱい鳴きながらパートナーを探していることでしょう。

私たちは夏を何年も経験できるから、暑いとか蒸すとか文句いえる。

文句言ってはいけないと、いろいろ考えます。

2013年9月12日 (木)

Woman最終回 / 無い影 / 寂しさがまじる理由

Woman Blu-ray BOX Woman Blu-ray BOX

バップ  2014-01-22
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先日「Woman」の最終回でした。
主人公のお母さん(満島さん)が元気になって帰ってきたはずのハッピーエンドなのに、なぜか物悲しい。

影は人影とも使い、その人の存在を意味する言葉です。
主人公の子供の絵日記は、お母さんの入院後、おばあちゃん達との思い出だけになってきます。秋に入院で4月退院の半年入院は少し長すぎかも・・・と思って見ていました。

柔らかな春の風が吹く日。
表に干してある白いシーツの向こう側を歩いてお母さんが音もなく帰ってきます。
シーツに影が映りません。声もしない。

家には誰もいなくて、いなりずしのみ。おばあちゃんたちは、出かけてしまったようです。子どもたちへお昼を置いていっているので、しばらく戻らない事情がある。

亡くなった旦那さんは繰り返し
「人生の最後のページは、自分で読むことはできない。死んだ後、子どもたちが自分たちの物語を読んでいく。」といったメッセージを投げかけます。

ガランとした家の寂しい様子は、おばあちゃんたちが主人公の急変の連絡を受けて病院へ行き、亡くなってしまってお別れを告げにきた主人公の幻影を子どもたちが見たのだとも考えられます。

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2013年9月11日 (水)

岩崎日出俊さんが、「半沢直樹」を語る

岩崎日出俊さんが「半沢直樹」さんをプレジデント誌で語っています。
つい先日、ご挨拶させてもらったばかりだったので新鮮でした。

銀行の世界はまったく分からない世界ですが、
岩崎さんの解説をよむと、ナルホド!と思います。

私たちは、金融というとクールな数字のビジネスのように思えますが、
なんと人間的な世界なのでしょう。

ドラマを分析する切り口の鮮やかさが見事です。

未来の作戦づくり / 神田の片隅で

Yamadamongol

ヤマダモンゴルさんに伺いました。
北海道のラムのお店です。
岩手県の魚を利用した作戦づくりのためです。
産業を作りながら健康を良くする方法。

「あまちゃん」に出てきたミサンガからかかわっている、南部さん。
継続してお仕事されています。

Kuensan_3 クエン酸というものを頂きました。
人工のクエン酸しか入っていないのに、果汁のような奥深い味わい。
味覚がダマされている。
ラム肉はくさみが無くて美味しいものでした。

Syouwanabe 最後はレトロな鍋。中身はラーメンです。昭和の話になりました。キャンディーズはもちろん、いくつかの話題はある程度憶えていました。
でも、スーパージェッターと光速エスパー。
マグマ大使とジャイアントロボ。
私はそれぞれを結構混同していました。今でも混ざっている。

記者さんはよく憶えていらっしゃいました。
志木にあるという岩手のアンテナ・レストランに行く予定になりました。

イメージを作れば、あとはリアライズする方法を探すだけになります。
未来を変えるイメージは神田の片隅から生まれます。

2013年9月10日 (火)

未来のために / よみがえる日

Becks 今日は診療後、小さな会議がBeck'sで開かれました。
新しく、よみがえりました。
みんなで協力して作る、新しい未来がやってくることでしょう。

一つの誕生日です。

満島ひかりさんのWoman / らせん階段の上の風景

満島ひかりさんのWomanはリアルに迫る物語です。

Woman 先日、田中裕子さんと二階堂ふみさんがらせん階段の上で遠景をながめるシーンがありました。
医科歯科のMDタワーと三井ビルが写っていたので、ここよりももう少し秋葉原よりのところから撮影したものだと思います。

ちょうど山岸伸さんのスタジオの前あたりの神田須田町のガードのところが写っていたり、
なじみ深い場所がたくさん登場しています。

女性は、理屈ではなく目の前にあるリアルな生命に常に向き合う。自分の命や、子供の命や生きていくという生活。考えさせられます。

深い地震 / 海の中

地震はいろいろな深さの物があります。
先日の地震は珍しく深いところのものでした

色が青色に近いと深い部分のものです。Japan_detail_large300kmぐらいの深さがあり、深発地震と言えそうです。

地震にもいろいろな種類があり、
火山でできた島であることを再認識します。

2013年9月 9日 (月)

23rd World Congress of Neurology / オーストリア・ウィーン / Japan Night

教授が理事を務められている日本神経学会は、アジアの代表として京都で開催すべく
2017年に開催予定の23rd World Congress of Neurology(WCN2017)を日本で行えるように立候補しています。

ウィーンで開催される国際神経学会にWCN2017の京都への招致活動の一環として、9月21日夜にJapan Nightと称したプレゼンテーションが行われる予定です。

日本の医療や会議開催能力を海外の先生方にプレゼンするのは、まるでオリンピック招致のようです。

着物を準備される女性もいらっしゃるようで、大和撫子がウィーンの歴史的建物を華やかに彩ることになることでしょう。私は診療があるため、うかがえないのが残念。

オリンピックだけでなく、日本の様々な創造的活動は確実にグローバル化しています。地球は狭くなっています。今回のオリンピック招致の成功が追い風になることを願っています。

プレゼンテーションは素晴らしいものになるでしょう。水澤先生のプレゼンは、いつも正しい軸からぶれることなく歯切れ良い。
自立したものづくりの国、日本はどの分野においても創造的です。未来をクリエイトするために海外の方々が訪れる国になってきている。

神経学会でも、応援してくださっている国も多いとうかがっています。総会の時のコングレスディナーでお話しさせていただいた、オーストリアのScmidt先生もとても気さくで良い先生でした。日本の上品なおもてなしをご覧になられて、各国の先生方の信頼関係も深まったのではないかと思っています。

先日の村上龍さんのカンブリア宮殿でお話しされていた、『私たちは、自分たちの行動が日本を支えるという軸足は絶対にぶれません。そして、相手国の発展に貢献し、ウィン・ウィンの関係を築くこと。そうすると相手国を豊かにしながら、日本を支え、豊かにします。』といった飯島彰己氏(三井物産社長)の言葉が心にしみます。

収奪的経済、extractive economicsは行わないというステートメント。他国の財産を移動させただけのextractive economicsで栄えても、一時的。なまけものの人間は自律的な発展能力を永遠に失っていきます。堕落し、世界経済の中で埋没していく。失うものの方が大きい。

個人や社会と国の構造はよく似ています。
努力しないお金を手にすると、人や地域は勢いを失う。

日本はinclusive economics/包括的経済を持つ良い国です。発展の土台を持つ国。
オリンピックも、日本神経学会も成功をおさめることを願っています。

2013年9月 8日 (日)

過ぎゆく夏 / ヒグラシの鳴くころ

ものすごい暑さの中でも、走ってみています。
Green_cicada
緑色のきれいなセミが歩いていました。ヒグラシのようです。カッコいい。
給水用の水を少し渡して、走ってみます。
気が付かないうちに熱中症は襲ってくるので、ゆっくり。

Heatev あまりの暑さに、給水場所で少し休憩。
モワーッとモヤがかかっているように見えます。

外に出たときに、光が違うように感じて、外国のポストカードのようだとおもったのは、このせいかも。

強い光の中、もやがかかっているので、木々やビル群が不思議な感じ。
論文を打っていて、走り出すのが夕方になってしまって、かえってよかったかもしれません。

かなかなと声陽に焼かれひぐらしや 優仁

「僕らの短い一生。暑さになんか負けない。」とヒグラシは鳴いているようです。
まだツクツクボウシは出てきていません。

オニヤンマやシオカラトンボがまだ飛んでいますが、
コオロギが鳴き始めるのも、アキアカネが飛び始めるのももうすぐです。

そのころには、ヒグラシはもういなくなっていきます。

2013年9月 7日 (土)

日本のプレゼンテーション/あっぱれ/A friend in need

先ほど、オリンピック承知の日本のプレゼンテーションが報道されました。

しっかり聴衆をみすえて、プロンプターはあったかもしれませんが下を向かず、堂々と声の高低を交えながら訴える姿は心を打つものでした。

アスリートでありながら、立派なプレゼンター。

結果はどうあれ、すでに日本は十分にグローバルになっていることを
実感しました。
困っている時に助けてくれる人たちが本当の友。

A friend in need is a friend indeed.

あっぱれでした。

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Midkineの思い出 / 今は無き3研、5研 / 若き先生方へ

Midkine 大学にいたころ、神経細胞死を一生懸命に調べていました。

そのころ、指導していただいた道川誠先生が『Midkineミッドカインという物質が、神経細胞死を防ぐ』ことをアッセイしようと仕事をはじめました。

primary cultureというマウス胎児脳から取り出した特定の神経細胞に、Midkineを投与して細胞死が抑制されるかどうか調査を始めました。

細胞培養室はクリーンベンチとインキュベーターがあり第3研究室、3研と呼ばれていました。ケミカルなアッセイをしたり、液体窒素による細胞保存ができる部屋は5研でした。

窓ガラスがところどころ壊れているような古い建物でしたが、多くの優れた先生が在籍されていました。私は、ものを育てるのが好きだったので、細胞培養にのめりこんでいきました。神田先生(現山口大学)や山脇先生(現京都府立大学)とのちょっと前の接点。

久しぶりにMidkineのことを調べてみると、がん細胞とのつながりや、その後のことがつづられていました。

こちらの建物は壊され、駐車場となりました。研究室は耐震構造を持つ医科歯科MDタワーと呼ばれる最新の建物に移動しました。強固なガラスで守られています。

懐かしい思い出。
ラボでの思い出は、臨床医となった今でも基礎研究論文を読破する力となり、『ベンチから臨床へ』、基礎と臨床の連携を模索する原点となり私を支えています。
メタボの生理学の基礎論文もなんなく読み進められます。
たとえば、AJINOMOTOさんで講演会では、ノザンを利用したRNAの発現を基にしたPPARγのサーカディアンリズムをかみくだいてお伝えしました。

与えられたものに実直に全力を尽くすこと。
未来は予測できないのだから、それしかないこと。頭でっかちになりがちな若者(先生)へ少しだけ伝えたい事がらです。

2013年9月 6日 (金)

便利な缶詰 / 食材としても優秀

Obentorecepie 缶詰は便利です。

加熱加圧滅菌されていて、長期保存ができます。
食材も柔らかくなっている。

少し前に話題になったことについて、コラムをお書きしました
栄養素などについては、
これから紀伊国屋書店さんで配布されるリーフレットにお書きしました。

魚介類のエコシステムを考える時代になってきています。

2013年9月 5日 (木)

低気圧で悪化する片頭痛 / 日常の工夫が必要

竜巻が連日起きて、
雷が毎日のように落ちています。

アジアのスコールとは異なる、局所的な急激な気圧変化を伴う気候変動です。

vulnerableな状態にある人々は、この変化で片頭痛発作を悪化させています。
ここのところ、クリニックには初診の重症の片頭痛の方々が見えられています。
『ああ、わたくしと同じような方がいらっしゃいましたか・・・』とため息をもらされています。

季節外れの群発頭痛の方も多い。

このような年は初めて。
食事、生活習慣などの予防方法も含めて、患者さんにお伝えしています。

ガンバってのりこえていきましょう!

2013年9月 4日 (水)

鶴蒔靖夫さんのラジオ収録/メタボの話題/☆が地上に煌めくとき

今日は数カ月前から予定されていたラジオ収録の日でした。
メタボ解決のための新しい方法についての話題です。

Radionipponkanban ラジオ日本はミッドタウンの近く、Tokyo American Clubの隣にあります。
日テレ系で、ジャイアンツやジブリ作のロゴが飾られています。
Photo

一方、よく似たニッポン放送は有楽町にあって、フジテレビ系。
Uchiawase2 まずは打ち合わせ。
スタッフはお二方とも若くて、びっくりです。台本のやりとりはいくつかしてあったのですが、最終的にはいつもの通りアドリブ。
Start_2 「どうぞ」の合図で始まります。
今振り返って見ると、分を刻むカンペがあったようです。

Start 優しい鶴蒔さんに導かれて、自然にトークが始まります。ロマンスグレーな紳士。自然に禁煙や、メタボの話。

Syuuroku 外からは時間の指示をその都度出していただいていたようです。鶴蒔さんが台本を指で追う時間で数えていました。それぞれのパーソナリティさんには、それぞれの時間の測り方があるものです。

Ohanashi2 途中で視線をキョロキョロ異動させないで、ゆっくり思考を集中。ゆっくり言葉をつづった方が楽しめますし、カマない。ラジオなので、あいずちも、ハイ、とか、そうですね とか 声を出す工夫。

Mrturumaki 話しているうちに通常の会話に。
ラジオでありがちなフリーな感じ。

Ohanashicyu 最初から僕の前には台本も置かれていなくて、尋ねられたことに、コンパクトに楽しく。パーソナリティさんだけを見ながらお話するのが自然だし、楽。

短い時間でしたが、クリニックで完成しつつある外来の強力な食事介入のスキーム、リサーラなどのω3、佐瀬寿一さんの体操、サーカディアンリズムなどについて内容濃くお答えしました。9月23日放送予定とのこと。

昨日の夜話し合った、神田で岩手の魚食で都心のメタボを解決する方法も思い出していました。そして、それを支える冷凍システムは実は、昔から仲良しの方が手がけるCASシステムでした。スタジオの関係で今日になったため、開いた時間にAJINOMOTO本社で講演会をすることが出来ました。
運命の歯車はいろいろなところで噛み合います。

大地の上のはるか天空に、キラキラ光る星々(☆☆)が描かれた表意文字は、回りつづける透明な歯車を見通す力をもつ意味を持ちます。お会いできたのも、美しい運命の歯車の一つ。その運命は、人々の未来を変える。

Kinensatuei 最後は記念撮影。
写真撮影を手伝ってくださったテニスプレイヤーの水谷さんは20年来の友人。

時々やってくるブロードキャスティングや取材の仕事は、気持ちを新たにさせる力を持ちます。ありがとうございました。

午後の診療では、全国に261人しかいらっしゃらない※原さんという珍しい名字の方がたまたま同じ時間帯にいらっしゃいました。同様の事が半年前ぐらいに、243人しかいない※子さんという苗字の方でも起きました。その日の午前もたまたま取材。皆さんそれぞれ「自分と同じ名前の人に初めて出会った・・・」と、お互い顔を見合わせてビックリされていました。特異点のような日があるものです。スタッフも患者さんも、私もびっくりです。不思議。

原著で楽しむ「Why Nations Fail」 4 / 現在完了形と対比を楽しむ

Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity and Poverty Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity and Poverty
Daron Acemoglu James A. Robinson

Profile Books Ltd  2013-02-07
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I've seen the future, and it worksという章があります。この章では現在完了形を楽しめます。
実は、この文章はI have been over into the future, and it works.という文章に続いてでてくるものです。これを「私は未来をみた」と過去形にしてしまうのは、とんでもなくもったいない。

彼は、ソビエトという人間が作り出した新しい経済システムを見てきて、この感想を漏らしました。タイムマシーンで垣間見るような未来世界のようなソビエトに行ってきて、その経験が自分の中で『手応え』を持ち続けているので、現在完了形

「ああ、私は未来を見てきたのだ!そして、今もそのシステムは動き続けている・・・」という感嘆にも似たニュアンスが含まれている。現在完了形には過去の出来事が現在に影響を与え続けているというパワーを持ちます。だからこそ、後半はand it worksと現在形なのです。

なので、ここでのseeは見るというのではなく、訪問するといったニュアンスが近い。
「(ああ、実際に)私は未来を訪れてきたんだ!そして、それはリアルに(今も)動き続けているのだ!
が意味としては近いかもしれない。
この古びた世界の中でも、想像の産物ではなく、リアルなものとして動き続けているからこそ、訪れることができたんだ、と、私に実際に訪れたんだ!という手応えが残っているところが、現在完了形の醍醐味です。
決して、見た、という過去でも第三者的な傍観者でもない。主体として未来的なソビエトを訪れた感動が込められている。

同じ章で、文章の対比でもう一つ楽しめるところがあります。

Prominent among the attendees was Woodrow Wilson, president of the United States. Noticeable by its absence was any representation from Russia.

という部分です。第一次世界大戦の後のベルサイユ宮殿での会議の様子を示したものです。出席する事によって存在感を示した米国と、不在によって注目を集めたロシア。

この対比は訳本では描き出されていない。私はこんな風に読みました。

この会議の出席者で存在感バツグンだったのはウッドロウ・ウィルソン米国大統領。その一方で不在により注目を集めたのは、ロシア代表が一人もいないことだった。

そしてロシアは・・・とロシアからソビエトになり、つまづいて消滅していく姿がつづられていきます。
その中に出てくるのが前出のI've seen the future, and it works.なのです。

こんなふうにこの本の著者は読者を楽しませようと、いろいろな仕掛けを考えてくれています。訳本のあとは、ぜひ、原著で楽しみましょう!

私は訳本の上に、ペーパーバックを乗せて、わからない単語を訳本さんに依存して読み進めています。
スイムーランースイムは体を鍛え、本は脳を鍛える。
今年の夏の楽しみです。

2013年9月 2日 (月)

気象病 / 天候と病気の特異性 / 竜巻 / ニュースウオッチ9でも

A Human Health Perspective On Climate Change A Human Health Perspective On Climate Change
The Interagency Working Group on Climate Change and Health National Institutes of Health Centers for Disease Control and Prevention

  2011-12-15
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今年は「異常気象」の年。今日も猛暑や豪雨、突風について報道がなされました。

気象病という概念があります。
「今日も、夕方雨が降りだすとケガをした後頭部がきしむように痛くて、
毎日暑過ぎるので、うつっぽい」
という患者さんが見えられました。

夏の暑さも、反転して急に寒くなった時も、頭痛や神経痛、
喘息発作、うつなどの精神症状をきたしやすくなります。

突発的な竜巻や嵐のような気圧変化が体調をくずす原因になるのではないか、という調査が沢山なされてきました。色々な側面からの蓄積があります。
クモ膜下出血は季節には少し影響を受けるけれども、気圧や気温変化にはあまり関連は無い、という報告もあります。

NHKのニュースウオッチ9でもレポーターさんにお伝えしたとおりです。
気温の変化では神経痛が多い。

このように気象の変化と疾患の関連は、いろいろな特異性が存在します。
よく見かけるのは、うわべだけ単純に気象の変化と症状を結びつけるもの。
解決策や予防方法に結びつかないので、さえない話題になりがち。

vulnerableな人がかかりやすい、と「vulnerable」という形容詞がよく使われます。
カラダに気候に敏感なところを抱えているので、病気になりがち、という意味です。
日本語にはあまりない、適切な言葉です。

もともと気候変動に敏感な方もいらっしゃいますが、
同じ人でも、気候変動で体調を崩しやすくなることもあります。

仲良しの獨協医大の平田教授の論文に
「Influence of barometric pressure in patients with migraine headache.」
というものもあります。
どの程度の気圧変化があると頭痛が増えるのか?というものです。

冒頭の著書は世界的な気候変動と、様々な病気について記載されています。
人の体は自然の中で生かされています。
環境の変化への敏感性が持ち続けることは、生き物として自然なこと。

昨日は朝から午後まで、臨床栄養学会で貴重なご講演をいただきました。
メタボー食事(栄養)ー運動ー疼痛治療ー天候、気象。
自然の片隅で生きる人間が健康に暮らす知恵。
みなつながっています。

大切なことは生理学を理解して、快適に乗り越えて行く術を磨くこと
それをお知らせすることです。

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