「環世界」 / 動物たちの見ている世界
動物たちは動物たちの目で、
人間は人間の目で世界を見ています。
それを「環世界」と呼びます。
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動物と人間の世界認識―イリュージョンなしに世界は見えない (ちくま学芸文庫) 日高 敏隆 筑摩書房 2007-09-10 売り上げランキング : 38333 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
どんな生物でも、外界を理解するためには日高先生のいうところの「イリュージョン」、論理構造に支えられた認知能力が必要です。ここでいうイリュージョンはマジック・ショーのようなものではなく、外界からの刺激で神経系がどう反応するかというハードウエアとソフトウエアの性質をさします。
人間は水晶体と網膜を持った目と大きな脳、虫は単眼や複眼そして人間よりは小さな脳の組み合わせです。日高先生は、ハードウエア的制限から見えるものは自ずと異なり、それを処理する神経系も異なるのだから、それぞれがそれぞれの世界を生きている、と述べられています。
もしかしたら、こういった「環世界」や「イリュージョン」といった概念は、カントなどの哲学をも超えた理論かも知れないと考えています。
ひとつはカントの哲学は人間についてのみ語られています。もう一つは、哲学というのは人間の脳の仕組みに沿って、どういった論理構造をとっているのか、どういった性質を持っているのか、という枠組みの中での話だからです。
日高先生方の行動生物学は、植物も含めた生物全体の「意識」をも理解しようとする包括的理論です。獲物を捉えに行く真菌である粘菌の哲学をカントは語ることができませんが、行動生物学は語ることができるかもしれない。
行動生物学には、人間の思考も行動も、単に自然の片隅の存在にすぎず、自然との延長線上にかならずあるという謙虚さがある。
「あなたは蟲を殺し過ぎた。もう蟲笛もめくらましも効かない。」といったナウシカの言葉は、蟲の環世界を表しています。宮崎駿監督は多くは語りません。でも、同じ思想だと個人的には感じている。
イーグルの見ている世界は素晴らしい空の世界です。木樹の間をすり抜けて飛ぶことができるし、思索にふけながら下界を見下ろしているように見えます。我々が、おてんばな見習い魔女のキキになれたなら、こういった風景を見ることができるかもしれません。
同意できなくても、相対する「環世界」を理解することこそが、齟齬による摩擦を減らし物事を救うことにつながると考えています。動物が農作物を荒らすことも、虫が人を刺すことも、ウイルスが人の体で増えること。もちろん、人間同士の齟齬も。
お金も立場もいりません。どの人にもできること。
私は時々、このイーグルの映像やナウシカを見て、一回振り出しに戻るようにしています。
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