STAP細胞 / 雪の日 / 「迷惑な進化」
STAP細胞作成を世界中の研究者が再現しようとしています。
GFPが光る(Nanog陽性)細胞までは確認できたかもしれないとの報告が掲載されています。GFPは、Nanogの下流にあります。Nanogは山中先生がマーカーとして見つけた物です。分化すると発現が抑制されます。良いマーカーを見つけました。さすがノーベル賞。
私も細胞培養を長いことやっていました。神経細胞培養では、FBSを減らします。栄養が多いと、グリア細胞や線維芽細胞が増殖してしまうからです。神経細胞は、栄養要求量が少ないので、わざと絞ります。逆にがん細胞系のcell lineでは増やして培養します。
細胞の種類と、メディウムの条件の組み合わせは無限にありますが、それを決めることがとても大切です。小保方さんは、幼弱マウスのあるリンパ球だけを集めて実験しました。その後のメディウムも特殊な栄養因子が入っているようです。
個人的には、外界の刺激が細胞内の遺伝子環境を変化させて分化を解除し、多機能を獲得すると言うアイディアは正しいと思っています。生き物が傷ついたときに、その場所に幹細胞が現れるのは、様々な細胞から構成される臓器の再生にとって有利だし、合目的です。肝臓なんかで報告されるんじゃ無いかと予想していました。
決して、突拍子も無いトンデモ論文では決してありません。歴史ある細胞生物学の延長にある研究。STAP細胞の実験の論理エンジンは、大筋では正しい。いつかは、誰かが、何らかの条件で、外界刺激による幹細胞化を実現することでしょう。電気刺激かもしれないし、細胞膜障害やウイルス感染かもしれない。
生き物には不思議がいっぱいつまっています。知られていないことだらけ。
小保方さんは、正しい物を見つけているのでは無いかと思っています。iPS細胞は遺伝子打ち込みなので、どの細胞からでも理論的には可能。STAP細胞は、細胞選別の条件が厳しいと予想します。
ヒトでも肝細胞や線維芽細胞など、再生能力の高い細胞で実現するかもしれません。細胞の選別とそれに合致した刺激、その後の培養条件の設定。
STAP細胞の条件、リンパ球に対する酸性の条件で良いかどうかは、これからの追試にかかっています。様々なトライアルの風雪に耐える論文であることを願っています。
今日は、実際の風雪の方が激しく、交通機関がマヒしていました。日赤医療センターの関連病院会議に途中まで出かけました。タクシーも含め交通機関がストップしています。スーツでは無理な環境で、革靴内にも水が入ってきてしまったので、泣く泣くお休みすることにしました。風雪に負けました。今日の格好では、昨日みたいに走れません。
鈴木一郎先生にお会いしたかったのに・・・残念。晴れた日にお会いしに行くことにしました。
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そして、コラムを書き、色々なことを大切な人たちと語る日になりました。水面下で書き続けている長文コラムがあります。「迷惑な進化」についてもお書きしました。
通常コラムはマラソンランニングのようですが、今回は章立てして、一冊の本になっても良いようにしています。
以前、PRESIDENTさんが取材に見えられたときに、全力であたったことが学びになっています。感謝です。
TVクルーが急にいらっしゃっても、何も変わらず、全力を尽くせます。
その都度、どんなものにも全力に当たること。
その日に望まれている最低限ではなく、やれる最大のことをしておくこと。
週末雪で患者さんが少なかった時に、頭痛外来の書類を整理し、栄養指導の書類とお部屋を準備しました。そうすべきだと思ったからです。
今日は雪で足止めでしたが、足止めならでは意味がありました。
謙虚に一歩ずつです。
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