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2014年12月17日 (水)

宇咲冬男先生の思い出 / 俳句 / エッセイ

「あした」からミニエッセイの250字の依頼を頂きました。

私は、脳が専門の医師なので脳について色々考えています。どうしてこんなに小さな臓器に色々な事を覚えておけるのか・・・など。

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脳科学者や、心理学者さんが少しずつ、脳の生理を解明しつつあります。どうやら小さな索引を付けて覚えているらしく、後は脳が作り出したイリュージョンで埋め合わせているらしいことなども明らかになってきました。

そういった最新の脳科学のバックグラウンドを元に、私に俳句を一生懸命おしえて下さった宇咲先生に捧げました。「あした」も、宇咲先生らしいネーミングです。


 私は、今でも宇咲冬男先生に時々思いを馳せる。自由自在に世界のかけらを俳句に晶結させていったお姿。
 物事は、文字を重ねて詳細に記載するとかえって正確ではなくなる。人間の脳には、少ない断片から心を羽ばたかせて、正解を見つける「エンジン」が備わっている。五七五の17文字が、人の心に無限の宇宙を作り出せるのもその仕組みがあるからだ。
 医療コラムニストとして働くようになった私は、人の脳のエンジンを信じて文章を綴っている。冗長さを排した文章は、エッジが立つ。
 先生から頂いた宝物が放つ光は、輝きを失うこと無く私の文章をこれからも照らしてくれるだろう。

ブラームスのワルツを聴きながら、天国の先生に手紙を書くつもりで綴りました。
雲に陰りながら、真っ白な冬の月が輝く夜でした。

今週は、都立青山病院に私を招聘して下さった岡部元局長さんとお会いする事になっています。今は亡き新田義朗先生の話をして、泣いてしまうかもしれない。素晴らしい先生でした。私の診療を支える大切な光の一つ。

良き師の真摯な教えは、永遠に生徒のこころに生き続けます。

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