卵円孔開存と片頭痛 / メリットとデメリット / 循環器の先生に相談
卵円孔開存と片頭痛について、TVで岡山大学の先端医療が取り上げられてから、患者さまに尋ねられることが多くなりました。
「片頭痛の方の5人に1人は卵円孔開存」というのは、間違いではないけれどもミスリーディングしやすい情報です。通常開いていない卵円孔開存が、片頭痛の人には5人に1人の高頻度で卵円孔開存があるように聞こえます。
実は、胎生期に全員に存在していた瘢痕組織である卵円孔開存は微細なものを含めると、「全人口の5人に1人は卵円孔開存」していることが知られています。
閃輝暗点の前兆を伴う片頭痛では開存の率が高いことが昔から知られているものの、治療によって発作の低減する人は限られていることも知られています。閃輝暗点の前兆を伴う片頭痛は、脳の発作性異常興奮をともなう不思議な病態で、必ずしも微細な脳梗塞だけが原因ではないことがその理由です。頭痛学会にご案内が掲載されているとおりです。
一方で、卵円孔開存を治療すると頭痛がほとんど起きなくなる方がいらっしゃることも事実です。カテーテルによる卵円孔開存の治療は、2006年から保険適応になっている心房中隔欠損の治療を応用したもので、新しいものではありません。今のところ卵円孔開存には保険適応がないため、自費診療となってしまいます。
クリニックでも、前兆を伴うあるいは、前兆を伴わないひどい片頭痛の方で、さらに、MRI微細な脳梗塞があるという条件を見たした方に、さまざまな循環器内科で卵円孔開存を検査してもらってきました。脳梗塞があり、心房中隔欠損の疑いもあるので、心エコーの検査自体は保険で行うことができます。幸い、今のところ開存の方はいらっしゃいませんでした。
検査自体は非侵襲的ですので、閃輝暗点の前兆を伴う片頭痛でお困りの方は、まずは検査だけ循環器内科で行ってもらうとよいかもしれません。卵円孔開存があっても、微細であれば治療対象にならないことがほとんどです。
閃輝暗点の前兆を伴う片頭痛は、数ヶ月から半年、人によっては1年に一回ぐらいの発作頻度の方がほとんどです。トリプタンで解決してしまう人がほとんどです。今、渡英されているひどい閃輝暗点の前兆を伴う片頭痛の方も、現地で元気に活躍されています。閃輝暗点の前兆を伴う片頭痛は若い人に多いため、トリプタンが間に合わない、あるいは使えない人の頻度はほとんどありません。
心臓への加療は、予期せぬ合併症がゼロではありません。メリットとデメリットを考えることが大切だと考えています。カテーテル治療は、卵円孔開存が確認されていて、かつ、閃輝暗点の前兆を伴う片頭痛発作が日常生活に多大な影響を与えている方や、微細な脳梗塞を合併している方が、考慮すべきものだと思っています。
まずは、非侵襲的な検査してみて、考えれば良いと思っています。
地元の循環器が得意な総合病院であれば、検査していただくことが可能です。日本では、各地にきちんとたくさんの優秀で丁寧な循環器の先生がいらっしゃっており、循環器学会もしっかりしているため、安心です。
不安な場合は、循環器の先生を訪ねてみることにしましょう。
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