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2016年10月 5日 (水)

オートファジーとファジー / phagyとfuzzy /大隅教授のノーベル賞

大隅教授がノーベル医学生理学賞を受賞しました。

大学院の頃、神経細胞の細胞死の研究をしていました。細胞には、増殖するだけでなく、周りに迷惑をかけること無く自分で自分を処理して消滅して行く“プログラム細胞死”という方法が備わっています。

また、状況に応じて細胞内のものを“食べるように”処理するシステムが備わっています。これをオートファジー、autophagyと呼びます。autoは自分、phagoは、“食べて消化していくこと”を意味します。白血球などが、他の細胞を食べて消化することをphagocyte(食べるphago+細胞cyte)と呼びます。

ゆらぎを意味するfuzzyとは、ファジーという音は似ていますが、語源がことなります。fuzzyは、“扇風機の風の強さをファジーに変化させる”時や、ファジー理論などのときに使われます。

オートファジーは、生命維持に必須です。

細胞は、栄養が豊富にあって元気なときには、まるまると大きくなり、細胞分裂をして増えていくけれども、栄養がないときには節約モードに入り、さらに、細胞内の様々なものを“断捨離”して小さくなり、生き延びようとします。

細胞内の代謝物や不要物を処理するためにも、オートファジーは必須です。破綻してしまうと、細胞内にいろいろなものが蓄積してしまって細胞死が誘導されてしまう。パーキンソン病やアルツハイマー病など、神経変性疾患と呼ばれるものの研究には無くてはならない、これから解明されるべき未開の分野。神経内科医の私は、久しぶりにワクワクして最近の論文を幾つか読んだりしてみました。

生命には、未知のさまざまな仕組みが備わっています。命を脅かすため廃止せざるをえない役に立たない旧時代の設備に大量のお金を無駄に消耗するなら、命を守り産業を生み出す生命科学に投資していただきたいと願っています。

無駄遣いをせずスマートに前進をすすめるために、日本のしくみにも“オートファジー”が必要かもしれません。

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