桜の下を走る / RUN & SWIM / 文章を校正しながら考える
桜が満開です。朝、昼、夕。いつ見ても綺麗です。夕方の光の色が変わる頃、桜の淡い色も変化します。その下を走りました。
先ほど、少しヘビーなメジャー雑誌の文章の医療校正を終わらせました。日本語は難しい。字数の制限もある。
ご飯、うどん・・・ 炭水化物減らすダイエット 60代後半で老化顕著に 糖質制限ご用心
この記事はとても面白く、興味を持って拝見しました。運動をする若者も、糖質制限をあまりしてはいけないことが知られています。難しい内容なのに、記事の文章も読みやすく、よく考えられて書かれています。
ひとつだけ、気になる部分が。正確にきちんと書かれている一方で、一読では少し難しい。
「糖質制限食の個体は、血液中に多く存在するとがんや糖尿病の発症が早くなる可能性が高まる物質が多くなっていた」
というくだり。
『血液中に多く存在すると』と『多くなっていた』が離れていることと、『多く存在すると』『多くなっていた』と重なっていること、『可能性を高めてしまう』という点などで、この文章は一読ではスッと頭に入りにくい文章になっています。
「糖質制限食の個体では、血液中に増え過ぎると糖尿病やがんの発症を早める確率が高まる物質が多くなっていた」
こうすれば、『個体では』で呼吸が入り、『するとがん』とひらがなが続くことを避け、『多く』が重らなくて読みやすくなります。『多く存在すると』は、理解しにくい言葉なので、『増え過ぎると』にしてスッキリ。たぶん、正常でも血中に一定量存在する物質だけれども、糖質制限をするとさらに増えるものと予想します。
さらに、
「糖質制限食の個体では、糖尿病やがんの発症を早める物質が血液中に増えていた」
とすると、正確さは失うけれどもシンプル。
一方で、原文にある『可能性を高めてしまう』は正しい言い方です。個体によって、糖尿病やがんの発症は異なるので、沢山の動物の状態を比べて、疫学的な確立で差を見ていく手法がとられます。
100匹中5匹と100匹中8匹、とか比べていくので『可能性を高めてしまう』は正しい表現です。
正確さを追求すると難しくて読み返さないと意味がつかめない文章になる。そのどこに落としどころを求めるか。読者はどんな人たちなのか。正解はありません。その中で、文章を作る僕らは生きている。
この文章も読み返すと、正確に書こうとされている誠意が伝わってきます。記事全体からも。たくさんの情報をまとめて、丁寧に良い記事にされています。
沢山の文章を拝読する仕事を続けていると、気になることがたまに出てきます。正解は無い中で、紡ぎ続ける。どの走る道順でも、泳ぐ時間や泳法であっても、どれも正解。運動と文章は、良く似ています。
RUNとSWIMをしながら、そういった事を考えていました。
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