湯種パンを焼く / 高温短時間で焼き切る / 機能性パン
湯種のパンを焼きました。
元々の生地をこねまくらないといけないので、時間がないとできません。
湯種は粉+熱湯の重量比で20%ぐらいにして、水分調節用に使っています。もっと多くすると、ふっくらしにくくなりクラストが厚くなったりして安定しません。100%だとグリアジンとグルテニンが絡み合う前に変性してしまい、グルテンができないので「すいとん」になります。
湯種は急いでいる時には、ポリ袋に粉を入れて熱湯を注いでミトンをしたままモミモミします。少量のパン用には、それで十分。
チタン製品のホリエ社と共同開発していたときの、チタン製ボウルをいつも使っています。軽くて形がいい。光触媒で清潔にたもてます。
この、すべすべのモチモチ感がでるまでこねるのが幸せを生みます。粉→パラパラ→モチモチ→クリーミーと生地が変化していくのが楽しい。グリアジンとグルテニンからグルテンへと分子構造が変化していく。その中でも微生物が増え続ける。
良い粉だと、すでに香ばしさの中に酵母の生み出すアルコールのようなケトンのような甘い香りが立ち上り始めます。VIRONのフランスパンなどが好きなので、市販されているVIRONの粉を使うことが多いです。
全粒粉も含め、そのほかの粉は北海道産にしています。酵母も十勝産。VIRONの時には、酵母はsaf。ちょっとだけテロワール。
1次発酵を行い、3分割。最終的に390gぐらいだったので、一つ130gぐらいです。スタートを決めたら、タイミングよく練りながら粉を足したり牛乳や生クリームやオリーブオイルを足しています。
僕は、小麦の香りを覆ってしまうのでバターはあまり使いません。自分だけならパンはイーストや麹で変化する小麦の香りを楽しみたい。リーンな中に少しリッチ感があるのが理想。
今回は、みんなで食べるので生クリームで最後の水分量を調整しました。塩は1g以下、砂糖は使わず蜂蜜5gぐらいでした。
さらに、米麹を入れてすこし生地を放置してプライマーにしています。その作られた糖を利用すると蜂蜜は5gぐらいでも勢いよく発酵して大丈夫みたいです。麹による前発酵は、探してもみつからないので僕は勝手に0次発酵と呼んでいます。麹の0次発酵をすると、ほんのり桜のような香りが追加されます。
湯種80gぐらいだったので、だいたい20%ぐらいになっていました。
焼く時には200度以上の高温15分以内で焼き切ることにしています。
ゆっくり焼くのは水分を失うだけであまりよくない気がする。きちんと発酵していると、スポンジの間の生地が薄くなっているから焼き切れる。
どれくらい保水させても、発酵が進んで生地が支えられて生煮え状態にならないかは、本当に経験と勘になります。
寒い時には発酵時間を長めに、湿気の多い時には水を減らして油分をふやすとか、パンは生き物そのもの。
僕だけが食べれば良いパンは、おからとかフスマとか青汁の粉とか食物繊維やプロテインが全粒粉より多いハードパンです。膨らまないことも多い。重量だけはあって、重たい。草食動物や鳥がたべるペレットと呼ばれています。パンダのエサと言われたこともあります。僕は、機能性パンと呼んでいます。
この緑の塊には青汁の粉だけでも20g、フスマ15g、おから5gぐらい含まれています。全粒粉は120gぐらい。小さいのに、なんか重たい。笹の香り。ナッツ版を作ると、甘くないナッツバーになります。
今回は休日なので家人の朝食を飾れるように、モチモチの香ばしいパンにして焼きました。白にオレンジ色が美しいオレンジマーマレードパンも作った。焼き立ての味見が一番うれしい。人工的に加えて整えたものではない、小麦本来の甘味や果物の香りがいい。
次は、診療日用の緑色の笹ペレットを焼く予定です。
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