例年の肺炎数との比較 / マクロで見た肺炎入院数
毎年、10万人当たり1日30人ぐらい、1億の人口なので毎日3万人ぐらい肺炎で入院していました。さらに高齢化がすすんでいるので、連日4万人かも、と言われています。東京はその10分の1の人口なので、たぶん毎日3千人ぐらい何らかの肺炎で入院になっていたことが予想されます。
30人に1人が重症と低く見積もっても、毎日100人以上が酸素をつけたり人工呼吸器をつけていたことでしょう。毎日100人以上の重症肺炎患者さんが増加したことが類推されます。たぶん、もっと多いと思います。
脳梗塞が持病にあれば神経内科が診たり、心不全なら循環器が見たり、外科手術後なら外科医が診たりして、様々な科で肺炎は治療されるので合算したトータルの患者数の多さは医療者でも普段意識されません。
高齢者なら、具合が悪くなれば肺炎と心不全必発といっていた先生もいました。両者は関連しあっています。
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コロナウイルスも呼吸器感染症による肺炎を起こすウイルスです。
こちらに大阪の丁寧な取材記事が掲載されています。軽症、中等症が増加しています。
東京は重症者は累計70人弱(11月30日)ほどです。前日から数人の増加です。
全国累計でも毎日100人単位で増えることはありません。そもそも、病床を特殊化するからベッド数が東京では90未満に設定されています。普通の肺炎を治療するところで、コロナを治療してはいけないことも逼迫(ひっぱく)の要因です。
毎年、医療機関は冬に激増する呼吸器と循環器の入院患者さんのラッシュをなんとかやりくりしてきました。
逆に見れば、少数の特殊病室も満床にならないぐらいの人数になっているということです。他の肺炎がほとんどいないことが幸いしています。
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今年は、海外からの流入の途絶、国民の感染管理で、インフルやその他の感染性肺炎が軒並みほぼゼロです。
ということは、誤嚥とかではなく感染性肺炎で入院してくるのは主にコロナということになります。
その数が上記です。
私は、肺炎の治療管理はとても大変だと思っています。ある日出勤したら、たくさんの器具が装着された患者さんがICUにいらして、「君が受け持ちだから」と言われた時代を今でも憶えています。尿量測定を1時間おきにしているうちに患者さんの横で寝てしまって、意識が戻った患者さんに「医者が自分の代わりに死んでる」とナースコールされたこともありました。
ミクロでみると、肺炎はとても厄介な病気です。
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肺炎の総数が少ないということは、個々の手間の大きさとは別のマクロの問題です。
高齢化社会における例年の肺炎入院の実数の巨大さと比較しないことや、他の感染性肺炎の発症も入院も激減していることなど俯瞰したマクロ的なことをメディアは触れません。特にインフルエンザウイルス肺炎の入院はゼロでしょう。
比較しないと、その実数がどんな意味を持つのか私たちは分からない生き物です。
科学的な医学的ファクトは、どこから眺めても変わりません。
呼吸器学会の報告は、だれが見ても同じ結論でしょう。
メディアでこのグラフ、見た人いますか?
正しいことを伝えようとする熱意はゼロです。
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昨日「自分で正しいことを考えるようになったら、不安が消えて世界が広がる感じがしました。今は、他の人のボランティアのために活動を続けています。」という、うれしい言葉をいただきました。自律的思考の勝利です。
恐怖は、私たちが自分で思考することを奪います。そして、法律まで作って逃げられない世界を作ろうとする。
僕は、これからもファクトを一つずつお知らせしていこうと思っています。材料提供しかできないけれど大切なことだと思う。その先それをどう考えるかは、それぞれの人が自由に行えばよいと思う。自律的に考える自由が担保されていることが大切だ。
僕は、視聴率やお金、出世のために人々を不幸にし、生活や暮らし、未来を担う若者の学業を破壊する人々から
私たち国民の生命を守るインフラ、富や財産、ささやかな幸せを守りたい。
そのためには、安全な地面の所在を示す閃光弾を地道に繰り返しあげ続けるしかないと思っています。
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