藤田紘一郎先生の思い出
藤田先生は父親の同級生。
東京医科歯科大学で外来をしていたころ、教官の用事でやってくる藤田先生の時間に合わせて父親に来てもらったことを思い出します。藤田先生は有名で研究と執筆、父親は診療とゴルフというすれ違いが生まれていました。
みんなで一番上のレストランに食事に行ったことを思い出します。彼らは会うと楽しそうに話すのに、自分たちで連絡を取り合ったりしない。男のプライドっていうものなのかな?と思っていました。
父親が休診の曜日に藤田先生に降りてきてもらって、同じような機会を幾度か作りました。うれしそうだったから。懐かしい。
週間パーゴルフの取材を元に動画を作り、父親の思い出を書いて藤田先生を思い出していたところでした。
☆☆☆
その頃僕は、まだ脳の救急や病棟で忙しくて先生が書くことになる「脳は腸に支配されている」という概念を十分に理解していませんでした。
神経細胞は脳に匹敵するぐらい、免疫細胞は体の大部分が腸に集まっています。人間全体を眺めてみると、どっちが中枢かわからない。藤田先生の慧眼。
父親は、「藤田くんは、とりわけ優秀だったのにジャングルが好きで飛び出しちゃったんだ。ジャングルの人々とすぐ仲良しになって、現地人にもてるんだよ」と楽しそうに思い出話をしてくれました。
「なんだ、そんなことを君に言っているのか。熱帯医学のもっと大事なことをお父さんには話したつもりなんだけど・・・」とおっしゃっていました。
先生のご著書を読んで、理解できない部分をかしこまったお便りでおうかがいしたこともありました。いきなり電話でクリニックに返事がきてびっくり。
☆☆☆
先輩たちが残したものの上に、僕らの医療は乗っかっています。コロナにしろ何にしろ、人間の得ている知識はわずか。
「清潔はビョーキだ」 以上に大切なことはありません。みんながワクチンを打ち、弱毒季節性になった新型コロナと共存する世界を予言していました。
ゼロコロナ、ゼロウイルス、ゼロバクテリアはありえない。どんなに手を拭いても、数秒後にはウイルスも細菌もまた僕らの皮膚をおおう。
人間は、寄生虫、細菌、ウイルスと共存しないと生きていけません。腸内細菌にも、ウイルスやファージが共存している。手についたコロナウイルスや腸内のコロナは、鼻の綿棒で調べるPCRではカウントされない。
共存方法をさぐらないといけない。だから、コロナウイルスを多数の市民が暮らし、多様性をもつ普通の市中でもレッドゾーンとグリーンゾーン、PCR陰性陽性にわけようと猛進盲信したやりかたは最初から間違っていた。そして、追跡は破綻しました。
感染症に対する謙虚さが足りません。計算できるとか封じ込めるとか、水際があるとか思い上がっている。予定は未定です。人間は観測して修正を繰り返すしかない。謙虚じゃないから間違えてばかりいて、無能な働き者にしかならない。人々をミスリードして、被害を与えた。
☆☆☆
自然に謙虚になること。そこから何を学んでいくのか自分で考えていかなくてはいけません。
それを後輩たちに伝える。それが人間の営みだと思っています。
謙虚なら、学べる。
一つずつ。人々の繁栄と安らぎを願った藤田先生、いろいろ教えてくださってありがとうございます。
先生は優しいから、雲の上でも人気者で笑いながら暮らしているんじゃないかと思います。
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