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07.脊髄小脳変性症

2007年3月15日 (木)

次を見つめる事・その1

次の未来を先取りしすぎで笑われてしまう事が多いのですが、少しずつ形になると、喜んでもらえる事が多いです。

神経内科を選んだ時、tPAで脳梗塞治療ができるようになるとか、脳の様子がMRIで分るようになるとか、高齢社会が進んで物忘れやパーキンソンの治療が増えてくるとか、誰も予想していませんでした。

先輩も教えてくれず、神経内科について、ただただネガティブな話しばかり伺いました。

でも、私は中枢を診る内科をやりたかった。

胃ろうのスキンケアの論文を書いた時も、『皮膚科領域だよね』と、神経内科学会でお話ししたときに冷たく言われた事もありました。
数年前、パーキンソン病患者さんの鬱についてお話しした時には、『パーキンソン病患者さんは体が動かせないから落ち込むのであって、鬱は絶対にない』と壇上から批判されたことがありました。

どちらも今大きな問題になっていて、胃ろうの皮膚から胃まで世界で初めて連続病理学的所見を記載した私の論文は沢山引用されています。
パーキンソン病のお薬は抗鬱作用を盛んにコマーシャルする様になりました。脳内のドーパミンニューロンだけでなく、セロトニンニューロンの異常の報告も増えています。

頭痛の診療を始めた時も、2年ほど前に本を書いた時も、今と様相は異なり、注目度もとても低く、「頭痛の人ってそんないないよね」とか、「この地域に片頭痛無し」と先輩に太鼓判(?)を押されたり同業の友人に心配されました。

私は救急医療から、一般診療、大学病院、在宅で診療を続けていたので、沢山の患者さんを拝見し、その現場で起きている事を患者さんと悩んで来ただけでしたので、壇上の先生方よりブレが少なかったのではないかと思っています。

私は、東京で初めてクリニックにスイカを導入しました

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2006年7月 8日 (土)

脊髄小脳変性症の会合

第6回東京SCD学会に行ってきました。

東京医科歯科大学からは、遺伝性脊髄小脳変性症の発表が、東京大学からは磁気刺激による治療の発表がなされました。

20060706_1ishikawadr発表される石川欽也先生です。

遺伝子座を見つけ、そのタンパク質の解明までをお話されました。

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2006年4月25日 (火)

脊髄小脳変性症の話しにくさ

脊髄小脳変性症の話にくさの原因は難しいものです。

小脳症状
パーキンソニズム
筋力低下
球麻痺
言語中枢のトラブル

といった原因が複合的に起きてきます。

筋肉は使わないと「廃用性萎縮」という筋力の低下が起きてきます。
やはり、定期的なリハビリテーションが必要だと思います。

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2006年1月13日 (金)

脊髄小脳変性症の本

先日、作業を進めていた、脊髄小脳変性症の本が完成し、到着しました。

060111_17520001脊髄小脳変性症のすべて と言う本です。
東京医科歯科大学の神経内科が中心となり、共同執筆したものです。

我々の教室は、臨床と基礎研究のバランスの取れた良い教室だと考えています。


脊髄小脳変性症のすべて
脊髄小脳変性症のすべて 水沢 英洋 月刊『難病と在宅ケア』編集部


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神経内科はこれから急速に進む高齢社会に置いて、最も重要な科になるでしょう。

こちらに、私たちの紹介のページがあります。
東京都の重要な病院にがんばって医師を配置していますが、ニーズに答え切れず、歯がゆい思いをしております。

東京で勤務希望の若い医師の参入をお待ちしています。

ご興味がある方は、どしどしご連絡ください。

2005年11月29日 (火)

脊髄小脳変性症の治療薬

沢山のことが分ってきましたが、脊髄小脳変性症の原因はいまだ不明で、その進行を止めることはできません。

小脳のふらつきを少し和らげるお薬として、セレジストというお薬が良く使われます。

セレジストは、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)の働きを持つ合成薬物です。

以前は、ヒルトニンという同じTRHの働きをもつ注射薬が用いられていました。
甲状腺の機能と小脳の働きが関係あるのでしょうか?

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2005年11月15日 (火)

脊髄小脳変性症の症状の進み方

脊髄小脳変性症は静かにゆっくり進行していく疾患です。

でも、その進行度合はさまざまです。

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2005年11月 6日 (日)

小脳に障害があるかどうかの確かめ方

SCDkatana

これは、私が以前、神経内科の絵本を作成したときに、脊髄小脳変性症の章のために描いた絵です。
患者さんが、「ゆらゆら左右に揺れて、刀を持っていたら、地面に突き刺して、体のゆれを止めたい」とおっしゃった発言を絵にしたものです。

波の上に浮かぶ天秤に刀を背負ったウサギが立っています。
天秤には、小脳のマークをつけました。

「月日が経っていくのが恐い。また、次の月が明けるのがいやになる。」
とおっしゃっていた情景を後ろの月で表現しました。

この絵はとても評判が良く、いろいろな脊髄小脳変性症の患者様にプリントして差し上げていました。

背中には刀。
患者様のゆれを止めたいという願いと、これからの症状の進展がもしあっても、守ってもらえるようにという願いをこめたものです。

ところで、小脳の調子が悪いかどうかはどうやって調べるのでしょうか?

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2005年11月 3日 (木)

経鼻経管栄養

食事を口から食べることを経口摂取といいますが、脊髄小脳変性症の症状が進行すると、経口摂取が難しくなることがあります。

そういった場合、経鼻経管栄養という方法をとることがあります。

これは、鼻から柔らかな細いチューブを胃まで通して、そこにミキサーした食事や、栄養剤を注入する方法です。

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2005年10月31日 (月)

経口摂取困難とは

いま、水澤英洋東京医科歯科大学教授監修の「脊髄小脳変性症のすべて(仮)」(難病とケア刊の、経口摂取困難から経管栄養までという章を書いています。

書き始めてみたものの、とても難しい。

ずいぶん沢山、いろいろなケースで、いろいろな場面に遭遇し状況を打破してきましたが、総論で書くというのはとても大変です。

それは、脊髄小脳変性症の症状や進行度合いがとても個性的だからです。

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2005年10月29日 (土)

在宅医療の問題/脊髄小脳変性症の胃ろうは他の胃ろうとどこが違うの?

10月28日付けの産経新聞に、平成16年度から保健医療のシステムが改善され、在宅医療の連携を強化するという記事が載っていました。

これはとても大切なことです。

10月26日に、雨の北千住の夜、在宅医療の方々とお食事をしたのですが、まさにその点がみんなの悩みの中心点でした。

脊髄小脳変性症などの難病では、ご自宅で見ていても、いろいろな原因で病院と自宅を行ったりきたりする事が多いのも特徴だからです。

現状の医療システムでは、
実はこれまで、このようなことを行うのが大変に困難でした。

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