秋葉原駅クリニック/お仕事

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06.絵本

2020年3月18日 (水)

強い国と緑の国 五 最終話 / 『それもまた、野のことわり。われわれも野のものの一つなり』

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その五 野のことわり
緑の国の書記官は、全ての患者の経過や国様子を詳細に書き記していった。
カゼがはじまり、カゼが緑の国を去るまで、その全てを。


「これは国の財産だ。長持ちする紙に清書して本にして後世に伝えよう。
効果があったスープのレシピは全部書き留めた。次に備えよう。
観察と記録は、この前の家畜の疫病の時にも役にたった。
人間や家畜の血を垂らすと、大体の疫病の種類がわかる石版も見つけた。

しばらくすると、咳が出ていた人もほとんど回復していった。
悪寒だけで済んでしまう人もたくさんいることがわかった。

けれども、中には死んでしまうひともいた。

そんな時も人々は慌てず、丁寧にみんなで弔った。
みんなが悲しんで一人ずつ大切に葬った。

春が来て、咳をする人はいなくなった。カゼは自然に去っていった。
長老が眺める夕方の丘には墓標がふえていた。
去年より少し多いだけだった。

「カゼが流行らなくとも災害で墓がもっと多い年もあった」彼は呟いた。

そこに兵が走ってきた。
「国王、我々のカゼの治し方を教えて欲しいという国の伝令が開けてあった門のところに来ています。どうしますか。」
「今のところ分かっていることを全て、教えてあげなさい。
悪霊はでてこないことも。我々は、たくさんのことを学んだじゃろ。それを全部教えてあげなさい。」

「かしこまりました」
兵は走り去りぎわに付け加えた。
「強い国は国土が焼け落ち、人口が激減したそうです。大ヤケドをおったものも多く、痛み止めも効かず唸り声が街中にひびいていたそうです。
旅のものが申しておりました。そして、なぜか国民の多くだけでなく国王も親指を切り落としていたそうです!」

緑の国の国王は、ため息をつくと遠くを見つめた。
「悪霊にやられたんじゃな」独り言を言った。

夕方の穏やかな風の中に静けさがもどった。
樹々の葉がゆれている。

国王は、昨日の演説の風景を思い返していた。
「霧はやってきて、霧は去る。
風は渡ってきて風は去る。
我々もやってきて、我々は去る。
大きな理(ことわり)の中で生きている。それだけのこと。」
長老の裾が風にはためいていた。
緑の国ひとびとは、その言葉にうなづいていた。

振り返ると、初夏の祭りのための準備に忙しい人々が遠くに見えた。

「なにも変わらなかった。
私も、少し悪寒がしたが様子をみていたら、それだけで治ってしまった。
衛生兵と栄養士が作り上げたスープは、体を助けてくれた。
きっと、体内に良い薬のようなものになる「素(もと)」がもともと備わっているのだ。」

療養所の上にはためく目印の吹き流しが風の向きを教えていた。
丘の緑は、夕陽に美しく輝いていた。


「野から生まれたものが野にもどる。

野にあるべきものが今、野にあり、我々は今、それを眺めている。
我々もまた、その野のひとつ。
野のものである我々が野にあって、野を観察して工夫して暮らしている。
災厄もいろいろあるが、またそれも野のもの。
それだけのこと。」

妻がたくさんの果物をもって丘を上がってくるのを彼は眺めていた。
妻もまた、暖かいスープで回復した人間のひとりだ。
「今年も実り豊かな年になりそうだ」

山の向こうには、焼き払われる家々や様々なものからの他国の煙が遠くに見えていた。

目を覚ました衛生兵は、風邪にゆれる療養所の布の天井を見ながらつぶやいた。
「わかったぞ! 国王に尋ねて合っているかどうかたしかめよう。そうか、悪霊は・・・」

熱が下がった彼は、暖かな毛布にくるまり再び安らかな眠りについた。

国王は書記官が製本した最後のページに記した。
「無きものを在るという幻。在るものを無きものにする幻。
それもまた、野のことわり。われわれも野のものの一つなり。」

 

 

おわり
(作 おおわだきよし)

2020年3月13日 (金)

強い国と緑の国 四

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四  緑の国
「きます。」

緑の国に伝令が帰ってきた。
「ここに悪性のカゼが来るのも時間の問題です」
「ごくろうだったな」年老いた長老が出迎えた。
「隣国では、親指を切り落とし、家に火がつけられています。
門は硬くとじられていましたが、悪霊が出る咳のカゼは防げないようです。
他の国に移動する速度を計算すると、数日のうちに、この国にもきます。」

「そうだろう。そうだろう。しかたのないこと。
災厄は、時々やってくるもの。門はあけておけ。」

咳をする人から悪霊がでてきて、人々を呪い殺すという噂も届いていた。
悪寒がするうちに手当てをしないと気が狂うとも噂されていた。

最初に発症して焼かれた伝令の様子や、石を投げる群衆の様子が瓦版で届けられていた。

だから、緑の国の人はとても不安になっていた。

家から出ないようにする人々もいた。
がたがた震えている人もいた。
門は閉じなくていいのか、と詰問するひともいた。

国王は集会場で国民を集めて語った。
「門を閉じたところで、意味が無いそうじゃないか。
だったら、我々は開けておこう。困った人が助けをもとめにくるかもしれん。

カゼについては実際、わからん。ただ、噂話は信じないようにしよう。
どうなるか自分たちの目で見てみようじゃないか。
悪霊がでてきたら、その時に考えよう。」

長老は、息をつくと続けた。
「霧はやってきて、霧は去る。
風は渡ってきて風は去る。

野にはわれわれには、理解できないことわりの方が多い。
われわれが母より生まれ出る道理さえよくわからないではないか。

野のものをコントロールしようとするのは、無理じゃ。
ただ、観察してその性質を知ることはできる。

我々がやれることに全力を尽くそう。いつも通りの生活を続けてくれ。
咳がでてきたものは、いつものカゼと同じように、とりあえず風通しの良い居心地の良い場所で手当てしてあげてくれ。
そして、経過を記録しよう。
ためになったものが見つかったら、みなで共有しよう。」

国民は、大切な仲間が病気になったからといって仲間を呪い殺すとは思えなかった。
その一方で、内心では怯えていた。

ほどなくカゼが緑の国にもやってきた。
どこからきたかはわからなかった。
悪寒や咳をする人間が増えていった。


風邪をひいた人も、どうしてかかったかわからなかった。
けれども国王の指示に従って、犯人探しはしなかった。
症状が辛いときには、専門の施設で治療することにした。
お世話をしてくれる施設を自分から訪れた国民もいた。

施設では、悪寒がする人が次々にはこばれてきた。
それぞれにスープと毛布があたえられた。
クスマの木の汁も試されたが、予防にも治療にも効果がないことがわかった。

そうやって、カゼの人もそうでない人も助け合い一緒に暮らし続けた。
なぜなら、咳が多かった人は一人でくらすのは体力的にむりだったからだ。
カゼが治った人が、新しくカゼになったひとを助けた。

しばらくすると、十分な栄養を与えるとほとんどの人が回復することがわかった。
年寄りが具合わるくなりやすいこともわかったから、彼らの家には健康な若者が物資を補給してまわってあげた。
悪霊を見たものは一人もいなかった。

そうやってしばらく時間が経過していった。

「悪霊を見たものはいるかね」
国王は看病している衛生兵に言った。
かれは、ときどき施設や国内を自分でみてまわっていた。

「いいえ、誰一人としていません」ゴホゴホ。咳をしながら、彼は答えた。
「悪霊なんていませんでした。強い国は、悪霊退治に必死だったのに。うちの国では出ませんでした。」

「うーん。」国王は微笑んだ。
「我が国には悪霊はこれからも出ない」

「そうなんでしょうか?」

「ああ。そうだ。私には君たちのおかげで分かったよ。ありがとう。
君も咳が出ている。カゼに感染しているようだね。交代して休むといい。

休んでいる間に、なぜ我が国では悪霊がでなかったか。考えてごらん。
もし、
答えがわかったら私に教えてくれ。正解かどうか、教えてあげよう。

栄養士が、滋養のある早くよくなるレシピを見つけたそうじゃないか。
本当にありがとう。国民のためになる。おつかれ様。 」

そういって彼の背中をポンとたたくと、国王は宮殿にもどっていった。

つづく

2020年3月11日 (水)

強い国と緑の国 参

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その参  炎
「俺たちは、熱湯でいくか。」体力自慢の若い村人は、熱湯を飲む挑戦をつづけた。
多くの若者は、苦しんで死んでいった。

別の若者は、「10日間、火の回りを踊ればいいんだろ」と言った。
「じゃ、咳がで始めた家に火をつけて、その家族にその周りをおどらせよう。そうすりゃ汚いものの殺菌になるじゃん。」
そう言い出す者もいた。

国のあちこちで、家に火がつけられ大火事が何度も起こされた。
「バイキン」と言われて、家の中で焼き殺された人もいた。
効率的な家に火を放つ方法まで編み出され、若者の間で流行した。
火事を眺めている人の中で、咳が止まらなくなった人は容赦無く火に放り込まれた。

兵は、隔離や親指切断より楽な家の燃焼を黙って見ていた。
その場から対象物が処理されれば報酬は約束されていたので、方法はなんでもよかったのだ。
兵は、焼け跡から親指の骨と思われるものをあさった。


やがて、咳があるかどうか、症状があるかどうかは、もう、どうでもよくなっていった。
「火をつけると土壌の殺菌になり、国民を守ると聞いた」といって、あちらこちらに火をつけて回るものまで現れた。

クスマの木といつわって、毒の木を売るものまで現れた。
強い国木はほとんど切り落とされた。

ただただ、みんな国を守るために必死だった。一途だった。純粋だった。
真剣に国を守ろうと思っていた。
額にシワを寄せ、汗を流し、一生懸命に親指を切断したり、隔離したり、火を放ったり、木を切り倒しつづけた。

初夏になり、咳をするひとはいなくなった。

クスマの木は1本もなくなった。
その他の木も売られるために無くなった。

国民は半分以下になり、たくさんの家は焼け落ちた。
世話をできなかったため、親が隔離施設からもどったときには子供たちは死に絶えていた。
働けるものもずいぶんと減ってしまった。

「親指が無くて道具がもてない。働けない。」と、餓死するものも後をたたなかった。
要所要所を守っていた人もいなくなったため、街は荒廃していった。

国王は部下に言った。
「ひどいカゼだった。悪霊も火で焼いて去った。これぐらいの被害で済んでよかった。
必死に戦ったから、最小限の犠牲ですんだのだ。みなのもの、協力ありがとう。
我々は勝利したのだ。」

強い国の人々は全員、カゼを制圧したことに満足していた。

「我々には、優秀な家畜産業がある。牛肉や豚肉を輸出すれば生き残れる。
あるいは、他の国も焼き払われているはずだ。我々のようにうまくはやっていないだろう。
弱った国に攻め入る時期かもしれない。我々は強い国だ。
また別なカゼが流行ると厄介だ。誰も入れるな。門も閉め続けろ。」
国王は4本指になった右手を差し上げ兵に命令を下した。

けれども、彼は知らなかった。

隣の国で、家畜が死ぬ疫病が迫っていること、そして、牛舎や豚舎が焼き払われ始めたことを。
死んだ動物から悪霊が舞い上がり、人々にうつると言われ殺し合いが始まっていたことを。

次なる伝令がもどり、全てを失うまでそれほど時間がないことを。

木を失い森を失い、職人や子供を失い、家が焼き払われ始めた時にすでに、国の形が失われていたことを。

つづく。

2020年3月 9日 (月)

強い国と緑の国・弐

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その弐 戦い
やり時を遠巻きに聞いていた人々は、皆んな裏山にかけて行った。

クスマの木は山の所々にしか生えていなかったから。
あっという間に、全部切り落とされた。

街ではクスマの木が高値でやりとりされ、奪い合いや殺し合いまで起きた。

分厚い扉を閉めたはずなのに、門のそばの家から咳のカゼはどんどん広まっていった。
「門をキツく閉めているのに、流行るのはなぜなんだ。どこから入ってきたんだ。原因を探せ!犯人は誰だ?」
国王は叫んだ。

伝令は、咳はでていなかったが外から帰ってきたのは彼だったので、一番に怪しまれた。
すぐに国民の前で首が切り落とされた。

ふーっ。
見物していた国民は、安堵のため息をついた。

彼の遺体は灰になるまで焼き尽くされた。
たくさんの国々を旅して苦労していたことを知っていた妻は、子供と共に泣き崩れた。
国民は泣き崩れる伝令の家族に石を投げ続けた。
「バイキン」と叫びながら。

「伝令を焼く時に悪霊が空に舞い上がった」という人間もいた。

そして、咳を検閲する法律と兵隊の組織が作られた。
悪寒ていどでも感染が疑われたものは、隔離もしくは完治をめざしてその場で親指が切断されることになった。

「国をまもるため法を執行します」
兵は、決して暴力的ではなかったけれど逆らうことはゆるされなかった。
国民も自分の親指を失えば、国が守れるとみんな信じた。

病気に怯えていた国民は、法律を制定するという国王に諸手をあげて賛成した。
「国民を守るのだ」という国王の言葉に熱狂した。


悪寒がした気がして、親指切断を自ら志願するものまでいた。
あるいは、寝ている間に悪霊が口からでているかもしれないと思い込み自分で切り落とした人間もいた。

自分の親、親戚や、行きつけの店の店主を兵に告げ口して差し出す者もいた。

あるいは、怪しいと報告された人間の名を帳面につけ兵に売るものまで現れた。
兵は切断した指の数だけ報酬が約束されていたから、自分で探す手間がはぶける帳面はありがたかった。
痛み止めは国民が痛みに応じて購入することになっていた。

指を差し出す国民、帳面をつける業者、切断する兵士。
その目的は一致していた。それは、国家を守るため。


兵は街のいたるとこに配置された。
国民の予想は裏切られた。
伝令を焼き尽くしたにもかかわらず、国民に悪性のカゼが流行り始めたのだ。

いろいろなところから人々がいなくなった。
学校の先生は、少しでも体調がわるいと子供にうつすのを防ぐため直ちに隔離された。

咳がで始めた人をみつけると、すぐさまとりおさえ一人ずつ親指が切り落とすか隔離された。
消防士、役人、商店のひとびと、医療者、人々はどんどん町から森の中の隔離施設に移動していった。

咳が悪化すると、口から黒い悪霊がでてくるとまことしやかに語る人々が増えた。
隔離施設は、悪霊で満たされていると国民は口々に言った。

母親が隔離されて、子供たちの餓死が増えた。
咳が出始めた人を見つけた国民も、兵にすすんでどこにかぜの人間がいるか報告した。

「2ブロック先の時計職人の家から咳の音がします」在る男が兵に告げた。
「悪霊も出始めています」

「なに、悪霊まででてきている?」

兵は職人の家に急行した。

職人は、国の時計台を調整できるたった一人の腕の良い職人だ。
国民の信頼も厚かった。
何代にもわたって、息子へと職人技が伝えられてきた。

「この人は、病気でない時もちょっとしたことで咳がでるんです。親指がなくなると仕事ができなくなるんです。」と女が言った。
夫はうなだれて涙を流していた。

「国王の命令です。他の国民を守るためです。法に従ってください。」と兵は無表情に夫の親指をきりおとした。

そのとき、「ゴホゴホ」と咳の音がした。
兵が振り返った。
そこには、まだ幼い男の子がいた。

「子供は指を切断することになっています。
私たちも出来るなら避けたい。
でも完治できるのだから、あなたたちのことを思ってのことです。申し訳ありません。」
兵はつげた。

「息子の時計職人の未来を・・・」

泣き叫ぶ妻の手から息子を兵は優しくけれども強い力で奪い取った。
「国王ではなく、あくまでも皆さん国民が決めた約束事で法律ですから」

母親の叫び声はいつまでも通りに響き続けた。

つづく

2020年3月 7日 (土)

強い国と緑の国・壱

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その壱 強い国

「咳の風邪だ、悪霊の咳の風邪がここにもやってくるぞ」
さまざまな国を巡ってきた伝令が分厚い扉の向こうから息急ききって駆け込んできた。
「もう隣の国まできている。ここにくるのも時間の問題だ」
門を守る従者は重たい木の扉を閉め、鉄の錠前を重々しくかけた。
大きな音がした。

「他の伝令は?」隊長が聞いた。
「私以外は、咳が出始めているので外で待たせています。」

「そうか」横で聞いていた王は、門の上の兵に目配せした。

「射て」

外にいた伝令は矢で射抜かれた。
門の中の伝令は、苦楽を共にした仲間を失ったことにうなだれた。
たくさんの国を歩いてまわり、流行りの伝染性のカゼと対策を調査してきたのだ。

「扉は2度と開けるな。悪霊を入れるわけにはいかない。それは、どんな病気なんだ?」

屈強な国王は尋ねた。
「まずひどい寒気が出たとおもったら、すぐに咳がでて止まらなくなります。
そして10日間咳が続くと死ぬことになります。」
「普通のカゼといっしょじゃないか。」

「それが違うんです。」
「どこがだ」
「まず、このカゼは治らないといわれています。かかると、どんどん死んでいく。
さらに咳をするひとから、咳と共に悪霊がでてくるらしいのです。それで感染力も強い。
悪霊は、隣の人、隣の人に乗り移り、呪い殺していくらしいです。
呪われると気が狂って周りの人間を傷つけまわって、その後大抵の人は死んでしまうらしいです。
Φの国では、国民の半分が気が狂って死んでしまったらしいとのこと。」

「どうすればいい」
「悪寒がした時点で、親指を切り落とすと治りやすいらしいです。」
「親指を切り落とす・・・」

「咳がでた人から出てくる悪霊は、熱や火に弱いらしいです。
Δの国では、国王がたくさんの人を釜茹でにしてみたところ、大半は火傷で死んでしまったけれど、
生き残った人は風邪も治っていたらしいです。
今でも、他の国では熱湯を飲み込んで生き残るかどうか試しているそうです。」
「もっと良い治療方法はないのか」
「μの国では十日間、火の周りを踊り続けていました。
咳が出てきた人もその家族も接した人も、十日間踊ることが義務付けられていました。
あ、そうそう、それから、元気なうちにクスマの木の実を布に染み込ませて顔に巻くとうつらないらしいです。
θの国で試されていました。」

「わかった。我々は強い国だ。クスマの木もある。
ねじ伏せてしまえ。全力で戦おう。
門も閉めれば完璧だ。えいえいオー」

えいえいオー!カゼを俺たちはやっつける。国内には、ぜったい入れないぞ!

えいえいオー!悪霊を追い払うぞ!指切断も熱湯も怖くないぞー!
えいえいオー!

いつまでも声が鳴り響いた。
やる気に満ち溢れた国民たちの姿を見て、国王は微笑みながらうなづいた。

つづく

2018年5月10日 (木)

碧い羽 / 誕生を告げる よみがえりの鳥

Featherinthesea

僕は、自分から離れていく大切な碧い羽をみていた。

しっかりと左胸に縫い付けていたものだった。

深海流の潮の流れと僕の沈降速度が生むベクトルは、進行方向が異なっていた。

ああ、そうだった。

もともと、僕は薬草を集めて動物たちを治す薬師だった。

テクノロジーが発達しても、個体そのものが滅んでしまえば再生できない。
どの動物、どの植物、どの地衣類にも、歴史と記憶があり、再生できない。

少しだけ手伝えば、もうすこし生き伸びられる生き物を手伝ってきた。

あるとき、草原に碧い羽が落ちていた。
それを追っていくと、衰弱した鳥が草の陰にいた。
落鳥 と言う言葉が頭をよぎった。

少しだけ、いつもと違ったのは、彼女が美しいコバルト色をまとっていたこと。

また、飛んでみたい

彼女は弱々しくつぶやいた。
補助筋肉を外部からつけてサイボーグ化することは、たぶん望んでいなかった。

僕は、その時持っていた薬草を、適切と思われる配合で渡した。
今でも、急いですりつぶした緑の鮮やかさは、脳の片隅に残っている。

碧と緑

ああ、彼女が誕生を告げる鳥になるなんて、
僕はその時予想もつかなかった。

そっと自分から離れていく、
かつて救った鳥からもらった
碧い羽をみていた。

遠ざかるにつれ、海の深い藍色と同じ色になっていく。

瞬間、僕の脳は鮮明になる。

ああ、そうだった

物語は全て、
着ている服の線維に分子的記録がなされている

僕は、全てがメモリーされた線維を引きぬいて、海流に任せた。

線維は、ゆっくりと解読してくれる人をめざして離れていった

僕は、網膜探索子の限界まで脳内で線維を追い続けた

碧い羽根とともに

漆黒が僕を包む
光子の減衰による物理的な黒なのか、
脳の終焉なのか

黒の意味の境があいまいになる・・・
あいまいさの存在理由すらが、意味を失っていった

2015年10月 7日 (水)

夜空を泳ぐワタリガニ

Watarigani 今、少し趣味で絵本を書き始めています。
生き物には時々美しい色が浮かび上がる事があります。

魚屋さんで、宮城沖で取れたというワタリガニの山を目にしました。
どれも大ぶりで、とても良いものでした。まだ微かに動いていました。

中に、1匹だけ甲羅に金色が浮かんでいるものがありました。
他の仲間は、グレーから青みがかった体に白い斑点の模様でしたが、この個体だけ背中に金色が浮かんでいました。横に流れて金粉がこぼれ落ちているようです。

魚屋さんにこれがほしいというと、『身の入りの多い重たいもののほうが良いよ』と言われて、別な個体を買うことになりました。もう会えない。

帰りの星を見上げながら、背中から金粉が溢れながら秋の夜空をゆっくり泳でいくワタリガニの姿を想像していました。
生き物は、目的なく生れては死んでいくものです。

金色の蟹・・・
良いフレーズです。絵本に登場させることにしました。

2014年6月27日 (金)

谷川さんの絵本 / かないくん

かないくん (ほぼにちの絵本) かないくん (ほぼにちの絵本)
谷川俊太郎 松本大洋

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谷川俊太郎さんの絵本をクリニックに買いました。

短い絵本ですが、話の展開があります。
絵も美しい。

心に染み入るお話です。

2009年1月 2日 (金)

青いトラ

なかなか味わい深い絵本です。

青いトラ 青いトラ
Tereza Horv´athov´a Juraj Horv´ath 関沢 明子

求龍堂  2008-10
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続きを読む "青いトラ" »

2007年10月20日 (土)

とても大忙しの一週間・『いきいき』・『Real Simple』・『リサーラ』・『ミッドタウン』そして『イカめし』

先先週、先週はとても忙しかった週でした。

まず一つは、『いきいき』の記者の方が見えられました。
Screenshot_7
複雑な医療システムの中で、どうやって暮らしていったら良いのか、短い時間でしたが、お話申し上げました。

本当にこれから、大変な時代を迎えます。
がんばっていかなくてはなりません。

週後半は、Real Shimpleの方が見えられました。

Screenshot_8
リアルシンプルの雑誌はとても美しいものです。
記者さんの興味の範囲の広さには驚かされます。

沢山の立派な御仕事をされている方々を含めて、楽しいお話をさせて頂きました。


ミッドタウンでの講演会の内容も少しお話しして、喜んでもらえたと思っています。

ACPのobserve weeklyの翻訳も終わりました。

来月3日には福岡でω3の発表があり、その後すぐに次の講演会なので、さらにタスキを締めて気を入れている所です。

福岡での学会では、和食、魚食の有意性をお話ししようと思っています。
リサーラは白色のほっけやタラと言った流通が難しい魚肉と、抽出したDHAオイルからなる食品で、まぐろで心配な水銀は検出されないという優れものです。
そういったお話をする予定です。

ミッドタウンでは、未来の医療形についてのお話をする予定で、國本名古屋市立大学教授も出席され、産学協同と行った趣があります。
こちらにご案内が掲載されております。

そういいながら、今日はあんこう鍋と、アストラカンの有沢さんのご紹介で購入したイカめしと、命を御護りしたお礼に頂いた宮崎の焼酎でのんびりです。

Screenshot_9 めちゃくちゃ美味しそうな、丸ぶのイカめし(http://ikameshi.jp/)についての詳細は、ホクホクの湯気とともに後ほどまたご紹介したいと思います。
URLが
 イカめし ドット JP なんて、さすが広告の鬼です。
なんと、ご紹介頂いてすぐに申し込んだのに、売り切れ!
で本数を少なく御願いしました。
電話受付のお姉様もとっても嬉しい悲鳴の様でした。
びっくりです。すごいなぁ。

届いたイカの立派な事。全長25cmはあります。ゴロンと箱に入っていました。

でも、CDはなぜ?作られている方々のお顔が浮かんで、微笑んでしまいました。
この前は、電通の方がCDを作ってテレビで流れて、とても嬉しそうでした。
広告の方々はCDが好きなのでしょうか・・・

私の本業は患者さんを治すお手伝いをする事。
その事に、リアルシンプルするつもりです。

気を引き締めて、ひとつずつ、です。